失敗しないオフィス移転とは?【事例で判る事前準備が9割】

オフィス移転は労力と予算がかかるので失敗の許されない企業にとっての一大プロジェクトです。物件選び、内装工事、引越し作業とどこかの工程でトラブルやミスが起こると全ての作業に影響が出てしまいます。今回はオフィス移転で起こった事例紹介と、失敗しないために備えておくことを説明します。

 

実際に起きた失敗事例を紹介

失敗事例

まずは実際に起きた失敗ケースをご紹介します。

 

物件編

まずは、希望の物件に申し込みができなかった失敗事例です。A社は何件も内覧をしてようやく気に入った物件を見つけました。そこで不動産業者に入居申し込みをしたいと伝えると、すでに別の企業から申し込みが入っていて諦めるしかなくなったという事例です。原因は、このA社は内覧から申し込みまでの間に時間がかかったことでした。移転エリアを明確に決めていなかったため、本当にこのエリアで良いか社内協議をしている間に別の企業が申し込んでしまいました。

 

内装編

次は相場よりも高い金額で内装工事をしてしまった失敗事例です。B社はオフィス移転をした時にパーテーションで室内を区切るだけというシンプルな内装工事をしました。その時の工事が相場よりも高い費用だったというのが後から発覚。原因は簡単な施工だから費用はどこでも変わらないだろうと思い込み、相見積もりをせず1社だけで話を進めてしまったところにあります。後に追加施工のため、別の内装工事業者に当時の見積もりを見せたところ「同じ施工をした場合これよりも30万円は費用を抑えられますよ」と言われてしまった内装工事の失敗事例です。

 

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引越し作業編

最後にオフィス家具が搬入されず「数日間営業できなくなってしまった」という失敗事例です。C社はもともと3月の引越しハイシーズンに移転を予定していました。しかし内装工事が長引き、本来の引越し作業日から急遽日程を変更したところ、希望の日にちに引越し作業が依頼できませんでした。C社が引越し作業を希望していた時期が引越しの繁忙期であったことが原因です。繁忙期は物流業界のトラックの手配自体が厳しいので、引越し業者だけでなく、トラックを利用する配送業者のトラック自体が手配できずに起きた失敗事例でした。

 

オフィス移転を失敗をしないためにやるべき4つの対策

失敗対策① まずは一度移転の理由の確認をしよう

まずはあなたの会社が移転に至った経緯を思い出しながら、移転後に一番求めることは何かを明確にしましょう。明確にすることで物件探し、移転コストの予算管理、申し込みのときの失敗を防ぐことができます。

 

1)物件選びに失敗しにくくなる

移転理由を明確にすることで物件に求める条件がはっきりします。これで、いつの間にか希望条件とかけ離れていたり「物件探しの迷子」になるということが起こりにくくなります。必ず叶えたい希望や条件に沿って物件選びをしていけば、おのずと新オフィスの物件が見つかります。「物件探しの迷子」についてもう少し詳しく話します。まだ物件の内覧に行ったことのない方にはいまいちピンとこないかもしれませんが、内覧を進めていくと「希望にはそぐわないけど、この物件いいかも」と迷う物件が出てくることがあります。例えば、交通の利便性を考えて移転準備を進めていた場合です。駅近が一番理想的な物件なのにも関わらず、駅徒歩は距離があるものの家賃が安くておしゃれな広い物件を見つけた時に「ちょっと遠いけどいいかな」と思うことがあります。また、理想通りの物件がなかなか見つからず、妥協したくなることもあるでしょう。そんなときに必ず叶えたい希望は何かを念頭に物件探しをしておけば妥協して良いポイントも決めやすくなります。

 

2)コストの無駄遣いを予防する

移転の理由をはっきりさせることは日程調整をしやすくし引越し費用の高い時期を避けたコスト削減に向けたスケジュール調整につながります。例を挙げると、移転理由がオフィス拡大のケースです。4月の新卒採用者が入社するまでにオフィス移転をしなければならない場合、遅くとも3月末までには移転を済ませなければなりません。一方、下記の理由で移転の期限が決まっていないこともあります。

 

 

これらの場合は前もって春と秋の引越しの繁忙期を避けた移転スケジュールを組むことができ、移転コストを節約することができます。特に3月下旬は引越し業者の作業費用が2−3倍になるだけでなく、最悪の場合は以下のリスクがあります。

 

  • トラックが手配できなくて引越し作業ができない
  • 旧オフィスへの家賃支払いが増える

 

あらかじめ移転理由を明確にしてスケジュールを決めておけば前倒しで手配ができるので結果的にコストの節約となるのです。

 

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3)入居したい物件が他で決まってしまったという失敗を防ぐ

物件探しの際に陥りやすい失敗として『せっかく入居の意思を決めても先に申し込みを入れられてしまった』と言う事例はよくあります。しかし、移転理由を明確にして物件の条件をはっきり決めておくことで申し込みの決断を素早くすることができるため、先手を打たれて先に申し込みをされることへの対策ができます。

 

良い物件を見つけることを『タイミングとご縁』とはよく言いますが、人気の物件は申し込みが殺到しやすく、タイミングを掴むためにはあらかじめ準備をしておくしかありません。物件オーナーは申し込みを複数受けた時に、多くの場合で申し込みの順番により賃借者を決定します。もちろん物件オーナーによって違う条件で決めることもありますが、希望通りの物件が出てきた時にすぐに決断ができるよう事前にオフィス移転の理由を明確にしておきましょう。

 

失敗対策② 移転費用の高値づかみをしない

オフィス移転費用相場

移転にかかる費用は必ず相見積もりをとりましょう。以下は移転費用に関する相場です。

 

  • 仲介手数料:家賃の1ヶ月分
  • 保証金8ヶ月〜10ヶ月
  • 原状回復工事の費用 約10万円/坪
  • 新オフィスの内装工事費用 約15万円/坪〜20万円/坪
  • 引越し作業費用 3万円/人(従業員一人当たりの換算)

 

一般的にオフィス移転はコストと労力がかかるため何回も経験はしません。経験を重ねて相場観を養うことは難しいため、引っ越し業者と消費者との知識の差は大きくなります。この業者と消費者との知識の差から、知らない間に『相場より高い費用を請求されていた』というトラブルが稀に起こるため、トラブル回避には相場観を知ることも必要です。

 

上記の相場はあくまでも平常時の相場です。時期やオフィスの仕様によってこれより費用がかかることがあります。全ての費用が必ず相場通りになるわけではないので、複数の引っ越し業者に相見積もりをとり自社にとっての相場観を養ってください。

 

失敗対策③ 工程の抜け漏れを防ぐ

タスク量が多い移転プロジェクトを乗り越えるためには、移転の一連の流れを把握しておくことは重要です。移転業務は複雑なため、次から次へとやってくるタスクを流れ作業で行うと連絡や確認の抜け漏れが生じやすくなります。移転は様々な業者との日程調整や書類の提出、打ち合わせなど、タスク量が多いことが特徴です。そのため、以下を確認することが重要です。

 

  • 何を済ませたか?
  • これから何をするのか?
  • 現在地点はどこか?

 

移転に関する一連の流れは、次の章の「移転スケジュールを把握する」で日程と一緒に確認してください。

 

失敗対策④ スケジュール調整ミスを防ぐ

最後に予定の調整ミスを防ぐために移転スケジュールの確認をします。オフィス移転は、一つの工程でスケジュールが押したり伸びたりすると、その前後の工程にも影響を及ぼし、最悪のケースでは以下の事態が発生します。

 

  • 予定通りの日取りで入居ができない
  • 余計な家賃がかかる

 

下記の日程例をご参考いただき、この時期には何をしなければならないのか?を頭に入れてスケジュールを調整してください。

 

6ヶ月前《解約予告の提出、物件の選定開始》

多くの企業は遅くとも6ヶ月前から移転作業が始まります。その理由は退去について6ヶ月前にオーナーへ申告するという契約をしている場合が多いからです。30坪以下の一部の物件では3ヶ月前予告OKなど例外もありますが、その反対に200坪や複数のフロアを借りている場合は6ヶ月よりも前に退去申告をしなければならないケースもあるので、詳細は今入居しているオフィスの賃貸借契約書を確認してください。

 

一般的にこの解約予告の期日に合わせて移転計画を進めていきます。解約予告を出す前後で物件探しが始まるので、それまでに新オフィスへの希望条件と、その優先順位を明確にしておくことが移転プロジェクトで遅延を生じさせない秘訣です。

4ヶ月前《物件の決定、内装/電気工事業者、引っ越し業者へ依頼とオフィス内のレイアウト決め》

入居するオフィスが決まる頃です。物件が決まったら、内装工事業者と新オフィスの内装デザインを決めていきます。内装が決まり始めると旧オフィスから運び出すオフィス家具と、廃棄する家具や什器などが決まってきます。廃棄物がある場合は産廃処理業者に対して廃棄の手配を忘れずに行ってください。引っ越しが繁忙期と重なる場合は、各業者はできるだけ早めに手配をしましょう。通常業務もあるため各業者への調整業務に手が回らないという方は引っ越し作業をワンストップで行う業者の利用をお勧めします。また旧オフィスの原状回復工事が物件オーナーの指定でなければ、ワンストップで同じ業者に頼むと日程調整がスムーズになります。

 

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3〜1ヶ月前《内装/電気通信工事の開始、各種案内、行政の手続き》

この頃になると新オフィスの内装の内容も具体的に決まり施工が始まります。電気通信工事業者とのやり取りが進み、新しい電話番号が決まったら社内案内や名刺等の印刷の手配を進めることができます。また、法務局への届け出なども新オフィスが決まると行えます。この頃から、少しづつ出来ることから進めると移転直前のせわしなさが少し緩和されます。従業員と引越し作業当日の役割分担などの移転の段取りもしておくと各従業員の業務の調整がつきやすくなるのでおすすめです。この辺りから、いよいよオフィス移転の佳境となってきます。

 

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移転後~10日間《移転後の手続き》

手続きの中には移転後にしかできない届出があります。特に社会保険事務所への住所変更は期間が短く、移転後5日以内に行わなければなりません。早めに行いましょう。また、移転後はプレスリリースを発表したり、新しい社内案内を取引先へ送ったりと新たな営業チャンスです。この機会を無駄にしないように事前のご挨拶をするリスト作りをおすすめします。

 

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失敗しないオフィス移転とは?【事例で判る事前準備が9割】

オフィス移転で失敗しないためにその事例と事前に準備できることやその対策について話しましたがいかがでしたか。オフィス移転は事前準備が9割です。オフィス移転は予算も労力もかかるため、できるだけ無駄な労力と予算をかけないためにも事前準備をしっかりして、失敗なしのオフィス移転を成功させてくださいね。

 

 

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