皆さんは、移転費用の損益計算書での扱いについてご存知でしょうか?
本記事では、損益計算書での扱いや特別損失とは何かについて詳しく解説していきます。
移転費用と特別損失について
オフィスや店舗の移転費用が損益計算書でどう処理されるかですが、使用されるのは営業外費用や特別損失です。
営業外費用とは会社の業務とは関係ないところで発生する費用のことで、特別損失とは突発的や臨時的に発生する損失のことです。
オフィスや店舗の移転費用は営業外費用、特別損失で処理されるのが一般的ですが、特別損失の方はメリットとデメリットがはっきりしているため使い方に注意しなければいけません。
特別損失が用いられる例としては、取引先の企業が倒産したため売掛金や貸付金が回収できない場合、自然災害の被害を受けた場合などが挙げられます。
特別損失は、あくまで突発的な何かによる損失のため、そう頻繁に使用できるものではありません。
しかし、一方で特別損失は大きなメリットがあり、それは経常利益に影響を与えない点です。
大雑把な計算ですが、営業利益が500万円、営業外費用が100万円の場合は、営業利益から営業外費用が差し引かれるため経常利益は400万円です。
しかし、営業利益が500万円、特別損失が100万円であれば営業利益から100万円は差し引かれず、経常利益は500万円のまま変わりません。
このように、会計上は特別損失には大きなメリットがあるのですが、一方で特別損失は税務署に目を付けられやすいという大きなデメリットが存在します。
移転費用は特別損失で処理できるか
経常利益に影響を与えないというメリットに加えて、基本的に特別損失は高額であることから税務署は警戒するのです。
特別損失として計上できるという企業と、特別損失には当たらないとする税務署のスタンスの違いで、税務調査では問題が起こることも珍しくはありません。
このように、特別損失は扱いが非常に難しい側面を持っており、特別損失で処理するのであれば税務署に明確な根拠を示さなければいけません。
オフィスや店舗の移転費用の話に戻しますが、移転費用は特別損失として処理するだけの明確な根拠があります。
まず、特別損失は金額が大きいこと、突発的もしくは臨時的に発生していることの2つを満たしていなければいけませんが、移転費用の金額が膨らんでいるのであれば特別損失の条件に合致するのです。
損益計算書ではオフィスや店舗の移転を営業外費用で処理できますが、特別損失に相当すると自信を持って主張できるのであれば特別損失で処理するのも手です。
まとめ
オフィスや店舗の移転費用は、損益計算書では営業外費用や特別損失で処理するのですが、特別損失で処理できる場合もある点は押さえておくとよいでしょう。
「2020年現在」