オフィスの設計は、移転やレイアウト変更の際に必要な作業です。工事業者におまかせで依頼することも可能ですが、社内である程度検討しておくことをおすすめします。本記事では、オフィス設計の流れや、おしゃれなレイアウトにするコツを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
オフィス設計とは
オフィス設計とは、移転やリフォームなどを行う際に重要な工程で、オフィスのレイアウトやデザインを決める作業のことを指します。オフィスの設計を入念に行うことで、働きやすいオフィスを作ることができます。
オフィス設計の流れ
オフィス設計は、正しい流れで行うことで快適で働きやすいオフィスを作ることができます。ここでは、オフィス設計の流れを紹介します。
1. 目的の確認
まずは、目的を確認する必要があります。工事を行う目的を再確認することで、オフィス設計の方針を決めることができます。「業務効率化」「従業員の増員」「傷んだ内装材の刷新」など目的を言語化しておきましょう。
2. 参考レイアウト・デザインの調査
オフィスのレイアウトやデザインを設計する場合、参考となるレイアウトやデザインを収集する必要があります。他社の事例などを参考にしながら、自社のオフィスに落とし込んでいきましょう。また、工事業者に説明する際にも、参考レイアウトやデザインを提示することで、イメージを正しく伝えることができます。
3. ゾーニング
ゾーニングは、ざっくりとしたオフィスの配置を決める作業となります。執務スペースや会議室、廊下などの配置を検討します。現状のオフィスと比較しながら、効率よく移動できる配置を模索しましょう。ゾーニングはレイアウトの原型となるため、感覚的に決めるのではなく、従業員の意見をヒアリングした上で最適な配置を決めることをおすすめします。
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4. 具体的なレイアウトの作成
項目 | 基準寸法 |
通路幅(1人) | 600mm以上 |
通路幅(2人ぎりぎり) | 1,200mm以上 |
通路幅(2人) | 1,600mm以上 |
隣り合うデスク間の通路幅 | 600mm以上 |
着席時の机と椅子の距離 | 450mm以上 |
部屋の広さについては現状のオフィスを参考に検討し、廊下幅などは上記の表を参考に最適な寸法を決めましょう。また、什器の配置なども落とし込んでより具体的に計画することをおすすめします。
5. デザイン検討
レイアウトが決まれば内装のデザインを検討します。2で収集した参考デザインをもとに、部屋ごとにデザインを決めていきましょう。デザインは、床、壁、天井のデザインを決める必要があります。壁や天井はクロスまたは塗装、床は絨毯やタイルカーペットなど様々な仕上げがあります。細かな品番の選定などは工事業者と打合せをするとスムーズです。
6. 什器選定
デザインの検討が終われば、什器の選定を行います。什器は使い勝手の良さを優先したうえで、さきほど検討した内装デザインとマッチするようなデザインの什器を選定すると良いでしょう。
正しいオフィス設計を行うことで得られる効果
正しい手順でオフィス設計を行うことで、様々なメリットがあります。ここでは、主に得られる効果を3つ紹介します。
業務効率化
現状の業務内容や課題などを明確化し、正しくオフィス設計を行うことで業務効率化が期待できます。執務エリアから会議室・その他の場所への動線設計を綿密に行ったり、使い勝手の良い打合せスペースを確保したりと、業務内容に応じて最適な設計を行うことで効率的に業務を行うことができます。
従業員のモチベーションアップ
従業員の意見を反映させたオフィス設計を行うことで、モチベーションアップにもつながります。また、おしゃれなオフィスで業務を行うことで気持ちよく作業ができるため、業務が捗り、結果的に生産性の向上にもつながるでしょう。
対外的なアピール
適切な設計を行い、エントランスなど来訪者から見えるエリアのデザインにこだわることで、対外的なアピールにもつながります。おしゃれで清潔感のあるオフィスは、対外的に良い印象を与えることができます。また、コーポレートカラーを採用することで、自社のアピールにもつながるでしょう。
オフィスを設計する際の注意点
オフィスを設計する際、注意すべきポイントを解説します。
今のオフィスを基準とする
オフィスを設計する際は、今のオフィスを基準として設計することで失敗を防ぐことができます。例えば、デスク間の距離や会議室の広さなど現状の空間を基準として「もっと広くしたい」「今の配置のままでよい」といった判断を行います。これらの情報を新しいオフィスの設計に取り入れることで働きやすいオフィスを作ることができます。
なるべく業者に丸投げしない
オフィスの設計は工事業者や設計会社がレイアウトやデザインなど決めることが多くありますが、なるべく業者に丸投げせずに自社で検討することをおすすめします。会社によって業務内容や従業員の行動なども異なるため、実際に働く人がレイアウトの基本を決めることで快適に業務ができるオフィスを作ることが可能となります。
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優先順位を決めておく
優先順位を決めたうえでオフィスの設計を行うことで、予算をオーバーした際に対処しやすくなります。例えば、エリアごとに優先順位をつけたり、壁・床・天井など部材ごとに優先順位をつけたりする方法があります。また、業者に見積りを依頼をする際は、部屋や部材ごとに金額がわかるように提示してもらうことで検討がしやすくなります。
従業員の意見を取り入れる
オフィス設計は、上層部や担当部署が単独で決めるのではなく、実際に働く従業員の意見を取り入れましょう。従業員にアンケートを取ったり、各部署の代表者に意見を取りまとめてもらうなどして、全員が快適に過ごせるようなオフィス作りが必要となります。
オフィス設計の際のエリア別ポイント
オフィス設計は、エリアごとに注意すべきポイントなどが異なります。ここでは、エリアごとに、設計時のポイントを解説します。
エントランス
エントランスは、従業員だけでなく来訪者やオフィスの前を通行する第三者からも見られるということもあり、一番重要なエリアです。オフィスの顔となる部分のため、コーポレートカラーを採用したり、企業ロゴのサインを設置したりと積極的にアピールできるようなデザインにすることをおすすめします。
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執務スペース
執務スペースは、デザインよりも使い勝手の良さを重視した設計を行いましょう。業務を行う場所のため、効率良く快適に業務ができるようにレイアウトを決めることが重要です。デスク間のスペースを広く取ったり、無駄な動線をなくしたりと、様々な工夫を行うことができるエリアです。
応接室
応接室は、来訪者との打ち合わせや商談などを行うスペースのため、エントランスと同様にデザイン性を重視するべきエリアです。内装材だけでなくソファや机などもこだわり、落ち着いて過ごせる空間作りを心掛けましょう。また、デザインだけでなく防音性のある間仕切りを選定して、安心して商談ができるように機能面も重視する必要があります。
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会議室
会議室は、従業員のみが使用するスペースのため、デザインよりも機能面を重視する必要があります。座り心地の良い什器を使用したり、ホワイトボードやプロジェクターを設置したりと、業務内容に合わせて快適な空間作りを行いましょう。応接室と同様に、防音性のある間仕切りがおすすめです。
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トイレ
トイレは落ち着いてくつろげるようなデザインがおすすめです。予算に余裕があれば、内装材や高機能なトイレを選定してもよいでしょう。また、スペースにゆとりがあれば広々と使える空間を確保し、トイレ内に手洗い台を設置することも可能です。
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休憩エリア
休憩エリアは、従業員がくつろげるような空間が必要なため、落ち着いたデザインがおすすめです。観葉植物を設置したり、フェイクグリーンを活用してリフレッシュできる空間作りを心掛けましょう。
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おしゃれなレイアウトにするコツ
オフィス設計の際、おしゃれなレイアウトやデザインにするコツを紹介します。なるべく費用を抑えられる方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
参考レイアウトを多く収集する
準備段階で、参考となるレイアウトを多く収集することが、おしゃれなオフィスを設計するコツとなります。規模感や業務内容、オフィスのイメージなどがマッチするような事例をなるべく多く収集して、オフィス設計の参考にしましょう。
仕上げ材にこだわる
仕上げ材にこだわることで、おしゃれなオフィスを作ることができます。特に、床、壁、天井は空間の雰囲気を決める重要な部分です。様々な仕上げの種類があるため、好みのデザインのものを探すと良いでしょう。
照明器具にこだわる
照明器具にこだわることで、低コストでおしゃれなオフィスを設計することができます。オフィスではベースライトとよばれる長方形の照明器具が用いられることが一般的ですが、ダウンライトやスポットライトなどを採用することで見違えるようにおしゃれなデザインとなります。コストもベースライトと大きく変わらないため、照明器具にも着目してオフィスを設計してみましょう。
正しい手順でオフィスの設計を行いましょう
本記事では、オフィスを設計する流れやおしゃれなレイアウト・デザインにするコツなどを紹介しました。オフィス設計というと、工事業者が行う業務だと思われがちですが、自社の業務形態やオフィスの使い方を熟知している方がベースとなるオフィス設計を行うことをおすすめします。