日々デスクワークをしている人は、誰しも腰痛や眼精疲労を感じた経験があるでしょう。デスクワークで感じる痛みや疲労は正しい姿勢を意識することで改善が期待できます。本記事では、デスクワークの正しい姿勢の作り方や、姿勢を左右するチェアを選ぶポイントなどを解説していきます。
デスクワークの歪んだ姿勢が引き起こす問題3選
まず歪んだ姿勢が続くと、どのような問題が起きるのかを確認していきましょう。今回は代表的な問題を3つ抜粋して解説していきます。
問題1:体型の崩れ
歪んだ姿勢は、体型の崩れにつながります。というのも、骨盤や背骨が正しい位置ではないと筋肉のバランスが乱れ、猫背や反り腰を招くからです。また骨盤が前後に傾いた状態が続くと、歪んだ状態が正しいと身体が誤認してそのままをキープしてしまい、結果「ぽっこりお腹」や「出っ尻」に。
歪んだシルエットのイメージ▼
著者自身もデスクワークがメインですが、在宅勤務が続いた時期に猫背が癖づき、写真で見た自分の姿勢に驚いた経験があります。姿勢は気づかないうちに少しずつ変わってくるため、自身や周りもすぐには気づきません。
問題2:身体の痛み
長時間、もしくは長期間、筋肉のバランスが崩れた姿勢を維持し続けると、身体の痛みにつながります。姿勢が歪むと特定の筋肉に負荷がかかり、緊張状態が続くと痛みを感じるようになるのです。例えば、背もたれに体重を預けてお尻を前に出すような座り方(滑り座り)をすると、背骨の自然なS字カーブが失われてしまいます。すると、尾骨のすぐ上にある仙骨や腰椎に余計な負荷がかかり、腰痛を引き起こしてしまいます。
滑り座りのイメージ▼
このように、特定の骨や筋肉に余計な負荷をかける姿勢は、首や肩、背中や腰、お尻周りなど、身体の痛みにつながります。正しい姿勢を心がけて、身体に無理なくデスクワークを続けられるようにしましょう。
問題3:身体の疲れ
悪い姿勢は疲れの原因にもなります。主な理由は以下の2つです。
<悪い姿勢が疲れにつながる主な理由>
主な理由 | 詳細 |
悪い姿勢が続くと血流が悪くなる | ■酸素や栄養が全身の細胞に行き届きにくくなる
■脳と身体のエネルギー効率が低下する ■流れが悪いと疲労物質が滞留する |
巻き肩だと胸が縮こまり、呼吸が浅くなる | ■身体に取り入れられる酸素量が不足する
■全身への酸素供給量が減少する |
血行不良はなんとなくの疲れだけでなく、眼精疲労や身体のこり、冷え、浮腫み、肌荒れなど、さまざまな問題の元凶です。姿勢を正しく保って、血流促進も促しましょう。
デスクワークの正しい姿勢の作り方STEP4
続いて、正しい姿勢の作り方を解説していきます。デスクワークでは座っている時間が長いため、今回紹介する座り方をしっかり覚えましょう。
STEP1:チェアに腰掛けて骨盤を立てる
まずチェアに深く腰掛けて、骨盤を立てて座ってください。チェアにはできるだけ奥まで深く腰掛けて、背もたれに軽く支えられているくらいが理想です。
次に、まんべんなく座骨が座面に当たるような座り方に整えてください。そして、お腹に少し力を入れて骨盤が垂直に立った状態を維持します。
正しい姿勢のイメージ▼
骨盤を立てて座ると背骨が自然なS字カーブになり、無理なく背筋をまっすぐ保って座れます。
STEP2:足の裏全体を床につける
次は、足をやや閉じて、両足の裏を床にぴったりとつけましょう。足が浮く場合は、フットレストなどを活用したり、座面の高さを調節したりして、足を安定させてください。足の裏が床についた状態にしたら、膝の角度が90度前後になるように調節しましょう。
STEP3:あごを引いて背筋を伸ばす
座る位置や座面の高さが決まったら、顎を軽く引いて頭の位置を整えます。力を入れすぎず、耳と肩が一直線になるようにして、そのまま背筋をスッと伸ばすと、首や肩に余計な負担がかかりません。作った正しい姿勢が崩れないように、座面や背中にクッションなどを挟むのもおすすめです。
姿勢を正しく保つサポートアイテム例▼
出典:IKSTAR
ただし、背筋を真っ直ぐにしようと胸を張りすぎると、反り腰になってしまうため注意してください。天井から糸でつられているようなイメージを持ちましょう。
STEP4:作業ポジションを整える
最後にデスクやモニターなどの高さを調節して、作業ポジションを整えていきます。例えば、モニターは正面に置き、顎をひいて視線が下に15度~20度くらいになる高さを目安にしてください。
なお、時間が経つにつれ、姿勢が崩れる可能性があります。そのため「肘・膝・腰の角度は90度に保つ」と覚えて、定期的に姿勢や作業ポジションを見直しましょう。
姿勢維持をサポートするデスクワークチェアを選ぶポイント
ここではチェアを選ぶためのポイントを紹介していきます。デスクワークの姿勢はとても大切ですが、チェアの性能は姿勢の保ちやすさを左右します。チェアを購入する際は、以下の表で紹介する項目を確認してみましょう。
<チェアの主な確認項目と概要や目安>
項目 | 概要や目安 | 商品例 |
座面 | ■深く安定して座れる座面広さ
■標準体型なら「横幅45cm」 ■横幅50cm以上あるとゆったりめ |
■座面広め(幅55cm)
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背もたれ | ■主にローバック・ミドルバック・ハイバック・エキストラハイバックに分けられる
■長時間作業なら、姿勢が安定するように背中全面~頭まで支えられるものが良い |
■ヘッドレスト付き |
素材 | ■主にファブリック・メッシュ・本革/合成皮革に分けられる
■通気性や耐久性を確認 ■通気性が良く、圧迫されにくいのはメッシュ |
■メッシュ素材
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クッション性 | ■クッション材は主にウレタン・モールド・スプリングに分けられる
■クッション材なしの全面メッシュもある ■クッション性は好みが分かれるため試座するのがおすすめ |
■モールドウレタン |
その他、商品によっては細かい調節機能が付いています。正しい座り姿勢を作るために、肘や膝の角度などを座面の高さで調節するケースが多々あります。そのため、座面の高さが調節できる機能は必須と言えるでしょう。さまざまな項目を確認して、姿勢を正しく維持しやすい疲れにくいチェアを見つけてください。
正しいデスクワーク姿勢に導く簡単ストレッチ
姿勢を正しく保つためには、身体そのものをほぐすことも忘れてはいけません。筋肉や関節が固まっていると、どんなに意識しても姿勢は崩れやすくなります。短時間でできるストレッチを取り入れて、血流の改善や疲労の蓄積を防ぎながら自然に姿勢が維持できるようになりましょう。
<部位別の簡単ストレッチ例>
部位 | ストレッチ方法 | 代表的な効果 |
手足 | ■指を1本ずつ反らす
■手首や足首をゆっくり回す |
■末端の血流を促す
■冷えやこわばりの解消 |
胸 | ■背筋を伸ばし胸を開きながら深く吸い、ゆっくり吐く | ■呼吸筋を緩める
■猫背のリセット効果 |
背中 | ■両肘を後ろに引き、胸を張りながら背中を反らす | ■背骨の柔軟性を高める
■背中の丸まりを解消 |
肩甲骨 | ■両腕を大きく回す
■背中でタオルを上下に引っ張る |
■肩回りをほぐす
■首や肩の緊張を軽減 |
眼球 | ■上下・左右・斜めに眼球をゆっくり大きく動かす | ■目の疲労を防ぐ
■姿勢の崩れの抑制 |
作業に没頭し過ぎると身体はバキバキになってしまうため、意図的にストレッチなど、身体を動かすことを意識してみてください。少しの動きが姿勢改善やリフレッシュにつながります。
≫リフレッシュルームのメリットとは?導入時のミッションも紹介
デスクワーク姿勢をサポートするオフィス環境作り
最後に、デスクワーク中の正しい姿勢をサポートするオフィス環境作りについて解説していきます。姿勢を正しく維持するためには、チェアやデスクの調節だけでなく、オフィス環境そのものを整えるのも重要です。
当社では、従業員が自然に正しい姿勢が保てるような、照明レイアウトの最適化や整理整頓がしやすいオフィス作りなどの提案、デスクの高さに関わるアドバイスなども可能です。オフィス環境の整備をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
≫【事例有】オフィスレイアウト変更の手順は?費用と効果も解説
リフレッシュしながら姿勢正しくデスクワークをしよう!
正しい姿勢を維持するためには、一人一人の意識が大切です。また、姿勢は健康と作業効率の基盤と言えます。従業員が健康でいられるようにさまざまな工夫をしていきましょう。まずは、正しい姿勢の作り方や手軽にできるストレッチ方法を周知させてはいかがでしょうか。
当社ではオフィス施工を専門に行っており、過去さまざまな会社様の悩みに沿ったレイアウト提案や対策をしてきました。従業員の健康維持はオフィスレイアウトでサポートできることもありますので、お悩みの際はお気軽にお問い合わせください。