今回はオフィス内装工事の耐用年数の処理について、詳しく解説していきます。
内装工事の耐用年数と減価償却費の処理
減価償却資産がどれくらい長持ちするかの目安であり、経理の面でも大きな意味を持っているのが耐用年数です。
耐用年数には法定耐用年数と個別的耐用年数があり、必ずしも両者は一致しないためややこしいのですが、基本的には減価償却の対象がどれくらい使えるかを表しています。
減価償却の対象として挙げられるのは建物、自動車などの非常に値が張るものから、家具やパソコン、応接用のソファなど様々です。
そして、オフィスや事務所で内装工事を行った場合、この内装工事も減価償却の対象です。
内装工事は先に挙げた建物などとは違って現物が存在するわけではありませんが、減価償却の対象なので耐用年数が定められています。
内装工事の耐用年数は10年から15年であり、この期間をかけてかかった費用を計上するのが基本的な仕組みです。
仮に内装工事にかかった費用が600万円、耐用年数を10年とすると、まず費用の600万円を耐用年数の10年で割ります。
1年当たりの費用は60万円であり、この60万円を10年間に渡って借方の減価償却費として計上するのです。
この年は利益が多く節税したいので600万円のうち400万円を計上し、利益が少ない年には600万のうち20万円しか計上しない、このようなことはできません。
都合のよい時に都合のよい額を計上することができないよう、費用を耐用年数で割って1年ごとに減価償却費として計上します。
大きく利益が出ており順調な年は減価償却費による節税が期待できるものの、逆に減価償却費により赤字になることも十分にあり得るのです。
ただし、これはあくまで内装工事を計上する際の一例であり、実際には状況に応じて対応を変えなければいけません。
まず、オフィスや事務所を借りている場合ですが、耐用年数は賃貸契約とも関係してきます。
賃貸契約の期間が定められていて、さらに契約更新が何らかの事情でできない場合は、契約が切れるまでの期間を耐用年数としても大丈夫です。
契約期間があと5年で延長ができない場合は耐用年数は5年で計算できるので、内装工事に600万円の費用がかかったのであれば1年当たりの減価償却費は120万円です。
逆に、賃貸契約の期間が特に定められていない場合は、先に書いたような10年から15年を耐用年数として用います。
期間が定められていないとは無期限の契約という意味ではなく、契約の満期を迎えた場合に更新できるものも含まれているので注意が必要です。
自己所有物件の内装工事では
ここまではオフィスや事務所を借りた場合の話でしたが、自らが所有している物件での内装工事はまた話が変わってきます。
自己所有建物の内装工事の場合、耐用年数はその建物の耐用年数を適用するのが基本です。
木造の建物の場合は耐用年数が22年、鉄筋コンクリート造の建物は耐用年数が47年と構造により建物の耐用年数は変わります。
仮に、鉄筋コンクリート造の自己所有建物で内装工事を行った場合、耐用年数は47年で計算するのが基本です。
しかし、電気設備や冷暖房設備などは建物附属設備として扱われ、内装工事と一緒に処理できないなど注意点もあります。
賃貸のオフィスであってもそれは同じであり、建物附属設備の耐用年数と内装工事の耐用年数は一致しない可能性が高く、ここは間違いやすいポイントです。
分かりやすく処理できるものもありますが、内装工事は耐用年数と減価償却費が非常にややこしくなりやすいでしょう。
そのため、オフィスの内装工事を会計的に処理する際には、専門家に任せるのが確実です。
まとめ
内装工事の耐用年数は基本的には10年から15年ですが、これは賃貸の場合であり、自己所有物件の場合はまた異なります。
また、建物附属設備が関係しているかによっても処理が変わる可能性があるので注意が必要です。