オフィスのリニューアル工事では、壁面の仕上げなどに“リアテックシート”や“ダイノックシート”が使用されることがあります。シートは機能やデザインの数が多く、内装に取り入れるとお洒落な空間を演出できるなどメリットが多いです。今回は表層仕上げに最適なシートについて解説していきます。
リアテックシートとは?
“リアテックシート”とはメーカーのサンゲツから発売されている装飾用シートのことです。内装工事では壁などの仕上げ材料として使用されています。販売時の製品は粘着剤がついた裏面に保護シートがかぶせてあり、保護シートを剥がすことで施工面への貼りつけが可能です。また、ラインナップが全863点と豊富に存在するため、あらゆるニーズにマッチさせることもできます。
リアテックシートとダイノックシートの違い
装飾用シートの中にはリアテックシートと類似した“ダイノックシート”という製品があります。ダイノックシートとはメーカーの3Mから発売されている製品です。リアテックシートとダイノックシートの大きな違いは、販売元のメーカーが違うという点。また、ダイノックシートもラインナップが豊富にあり、1000点以上の中から選ぶことができます。商品の中には、傷つきにくい、ホワイトボードとして使える製品など機能も様々です。
≫ ダイノックシートとは?内装工事でのメリットや施工事例を紹介
リアテックシートとダイノックシート、どちらがおすすめ?
リアテックシート、ダイノックシートどちらの装飾用シートにするかは、施工する部屋のデザイン次第です。サンプル帳などを用いて機能や色、柄などから好みのシートを見つけましょう。装飾用シートは、リアテックシートとダイノックシート両方から選ぶことで、ラインナップが広がります。
シートの価格はいくら?
リアテックシートの価格は?
今回はリアテックシートのウッドシリーズ3種類のメーカー価格を例に紹介します。
シリーズ | サイズ | 値段 |
BASIC WOOD(ベーシックウッド) | 1㎡ | 4900円 |
WOOD (ウッド) | 1㎡ | 6200円 |
MATTE WOOD (マットウッド) | 1㎡ | 8200円 |
ダイノックシートの価格は?
今回はダイノックシート3種類をメーカーの参考価格として紹介します。
シリーズ | サイズ | 値段 |
Mortar/Plaster(モルタル/プラスター) | 1㎡ | 8800円 |
Dry Wood(ドライウッド) | 1㎡ | 11000円 |
Premium Wood(プレミアムウッド) | 1㎡ | 12000円 |
リアテックシートの種類
リアテックシートには863点ものラインナップがあり、シリーズごとの機能も様々です。木目シリーズは価格帯で3種類に分かれており、一番低価格なベーシックウッドで60点ものパターンがあります。また、各塗料メーカーの近似色をラインナップしたのがカラーシリーズ。部屋の塗装との色合わせには最適です。
リアテックシート・ダイノックシートの施工方法
貼り方
リアテックシートの施工方法は貼りつけをおこなう下地の素材によって違いがあります。今回紹介するのは、石膏ボード面への施工方法です。
パテ処理
まず、おこなう作業はパテ処理です。パテ処理とは、シートなどを貼るとき下地の凹凸が浮き出ぬようパテ(粘土)で平らにする作業のこと。ボードの継ぎ目やビスで止めて凹んだ個所などをパテで埋めていきます。パテが乾いたら専用の道具で削り、貼りつけ面を平らに。さらに目の細かいパテを用い、十分平らになるよう作業を繰り返します。
プライマー処理
パテ処理が終了したらプライマーを塗っていきます。ハケなどで施工面全面に塗布しましょう。プライマーは重ねて塗ると、シート貼りつけ後に凹凸ができてしまうこともあります。シートを再度剥がしての貼り直しが難しいため、重ね塗りをしないように注意が必要です。
貼りつけ
プライマーの塗布後、シートの貼りつけをおこないます。貼りつけ面のサイズに合わせてシートを裁断。シートの裏面に貼ってある保護シートを少し剥がし、貼りつけ場所の上部に合わせて仮止めします。裏紙を少しずつ剥がしながら、スキージで左右に伸ばして貼っていき、最後に不要な部分をカッターで取り除いて完成です。
プライマー処理は必要?
リアテックシートやダイノックシートを施工するときに、プライマー処理の工程は欠かせません。プライマーは接着剤として重要な働きをするためです。シート本体の粘着剤だけでは粘着力が不十分なこともあり、時間の経過で剥がれてしまうことも。プライマーは強力な接着力があるため、使用すると剥がれ防止効果を高めることが可能です。
シート施工の注意点
油性プライマーは臭気が強い(水性プライマーで対策できる)
装飾用シートを貼りつけるときには、施工の都合で油性プライマーを使用することが多いです。しかし、油性プライマーには臭気が強いという問題があります。シンナーのような匂いがするので、人によっては長時間嗅いでいると体長を悪くすることも。稼働しているオフィスや匂いがこもりやすい場所での使用はおすすめできません。また、オフィスが休みの日に油性プライマーを使う場合は換気扇をつける、窓を開けるなど空気の入れ替えをしましょう。
プライマーは全体に塗る
基本的にプライマーはシート貼りつけ面全体にムラがないよう塗る必要があります。塗布にムラができると、剥がれや浮き上がりなどのトラブルにつながるためです。特に小口など、シートの貼りつけ面が小さい場所は剥がれやすいため、まんべんなく塗っておく必要があります。また、剥がれを防止するためには、施工面の角丁度でカットせずに、余りを少し巻き込むと良いです。
日焼けにより変色することも
装飾用シートは長期間、日光に当たっていると日焼けすることがあります。毎日見ていると余り気づきませんが、新品の同品番と比較してみると変色、色褪せが目立つことも。昔貼ったシートの横に、同品番の新しいシートを並べて貼る場合には注意が必要です。例えば、昔シートを貼ったパーテーションの隣に、新規パーテーションを増設するため、同じ品番のシートを貼りたいといったケース。新しいシートと比べて変色が目立つ場合には、古いシートを新しく張り替える、色褪せたシートに合わせて色を選ぶなど、対策が可能です。
机などに貼る場合は継ぎ目ができないように
机などの家具にリアテックシートやダイノックシートを貼る場合はなるべく継ぎ目ができないように施工することをおすすめします。お金をかけたくない場合など、施工面積ぴったりの材料を購入し、継ぎ目ができるように貼るとシートの余りを最小限にできます。しかし、継ぎ目は時間が経過すると、シートが縮むことで隙間になってしまう可能性が。カラーによっては遠くから見ても隙間がわかってしまうなど目立ってしまうこともあります。シートを綺麗に仕上げるには、なるべく継ぎ目ができないようにすることが大切です。また、家具などに貼りつける場合は、剥がれを防止するため、小口や凹凸へシートの巻き込みが欠かせません。材料は施工面丁度のサイズで裁断せず、プラスで数cm程度巻き込むことを想定しましょう。
クロスよりも徹底したパテ処理が必要
シートはクロスよりも薄い材料のため、徹底したパテ処理が必要です。表層をいかに綺麗な仕上がりにするかは、パテ処理によって施工箇所の凹凸を平らにできるかにかかっています。薄い材料であるシートは、小さな凹凸があるだけでも仕上がりに影響してしまうことも多いです。
自分での施工は難しい?
シート貼りは、下地に少しの凹凸(不陸)があるだけでも失敗につながってしまいます。素人がパテ処理でデコボコを無くす、均一にプライマーを塗るのは、とても難しいです。失敗してしまうと、材料を買い直すなど手間になる可能性も。綺麗に仕上げるためにはプロへ施工を依頼したほうが賢明です。
施工におすすめの場所は?
LGS壁の仕上げに
シート仕上げはクロスや塗装と並び、LGS造作壁の仕上げに採用されることも多いです。石目や木目などリアルなデザインを取り入れることで、お洒落な空間づくりをおこなうことができます。一方で単色のシートを仕上げ材に使用する場合は、木目など柄のあるシートに比べて下地の凹凸が目立ちやすいです。柄がないシートを使う場合は、特にパテ処理を入念におこなう必要があります。
パーテーションへの貼りつけ
既製品パーテーションの中からでは「好みのデザインを見つけることができなかった」というケースにも、シート施工はおすすめです。シートはデザインや機能が豊富なため、パーテーションに施工すると、デザインの唯一性を高められます。オフィスに珍しいお洒落な品番を施工すれば、来客の印象に残りやすいなどイメージアップになる可能性が高いです。また、ホワイトボードシートを用いると会議室の壁全面に字を書けるなど、機能的に優れた部屋にリニューアルすることもできます。
リアテックシートとは?ダイノックシートとの違いや価格を比較【まとめ】
リアテックシートは装飾用シートの商品名です。また、勘違いされやすいダイノックシートとは販売しているメーカーが違います。装飾用シートを選ぶときはリアテックシート、ダイノックシートの両方から探すと選択肢が広がり、好みの品番を見つけることができるでしょう。シートの施工を検討している方は、お気軽にオフィスボールへお問い合わせください。