【内装工事】LGSのピッチと施工方法について!規格も解説

木造を除き、ほとんどの壁下地は、鋼製のLGS(軽量鉄骨)で施工されています。しかし、LGSを実際に見る機会は少なく、ピッチや施工方法を理解している方は少ないでしょう。この記事では、内装工事でよく用いられるLGSのピッチや施工方法を解説していくので、ぜひご覧ください。

 

≫ オフィスの造作壁【LGS】

 

【内装工事】LGSの仕上げ材取り付けピッチ

内装工事でのLGS取り付けピッチ

どんな仕上げ材を張るかによって、仕上げ材取り付けピッチは変わります。LGSに石膏ボードを1枚張るときは303㎜ピッチ、2枚張るときは455㎜ピッチで取り付けていきます。石膏ボード1枚だと強い衝撃を受けたときにひび割れてしまう可能性があるため、下地を細かく入れ、ビスで止める箇所を増やして強度を保っているのです。石膏ボードを2枚張っているときは、1枚に比べ強度を保てているため、ビスで止める箇所を少なくします。

 

303㎜ピッチは石膏ボードを3分割にしたもの、455㎜は2分割にしたものです。石膏ボードのサイズは、基本的に幅910㎜ですが、違うサイズのボードもあります。設置するときは、基本的にタッピングビス(鉄やアルミなど用のビス)で取り付けていきます。ちなみにLGSは、Light Gauge Steel(ライト・ゲージ・スチール)の略称です。

 

LGSの施工方法とそれぞれのピッチ

LGSの施工方法とピッチについて解説します。決められたピッチ通りに施工する必要がありますので、覚えておくと便利です。

 

①墨出しを行う

LGSの施工を始める前に、設計書や施工図通りに、壁下地材の芯墨(しんずみ)や逃げ墨(にげずみ)などの墨出しを行います。

 

*芯墨とは…材料が納まったときに、中心になる位置の印(墨)のこと。
*逃げ墨とは…正しい位置に墨を打てない場合に、一定の距離を離して打つ墨のこと。
寄り墨(よりすみ、よりずみ)とも呼ばれている。

 

墨出しを行うことで、実際にLGSを設置する位置を明確にできます。墨出しを行うときは、スケールや墨つぼ、レーザー照射器などを使用します。とくに、レーザー照射器は便利で、スムーズに作業するためには欠かせない道具です。ちなみに、間違った位置に墨出しをしてしまうと、1度設置したものを壊し、墨出しからやり直さなくてはいけない可能性があります。墨出しを失敗してしまうと、より時間がかかり、人件費もかかってしまうため、正確に行うことが重要です。

 

≫【内装工事現場】墨出しとは?必要な道具と作業手順

 

②上下ランナーを固定する

次に、天井と床に、ランナーを固定していきます。ランナーは、スタッド(間柱)を垂直に立てるためのレールのようなものです。墨に合わせてランナーを設置し、打込みピンやタッピングビス、溶接などで固定していきます。ランナー両端は端から50㎜のところ、それ以外の箇所は900㎜ピッチで固定していきましょう。ピンの固定には、火薬を使用しないガス式鋲打機(がすしきびょううちき)やガスネイラがよく使用されています。

 

③スタッドを切断する

スタッド(間柱)は、壁の高さに合わせて切断します。上部ランナーから10㎜以下の長さになるように、注意して切断していきましょう。また、後ほど設置する、振れ止めを水平に取り付けられるように、スタッドの上部を切断することも覚えておくと便利です。振れ止め用の貫通孔が、1.200㎜くらいの高さで空いているため、上部を切断しなくてはいけません。ちなみに、スタッドを切断するときは、高速カッターを使用すると精度よく加工できます。また、高速カッターを使用すると、切断面に亜鉛めっきの犠牲防食作用(ぎせいぼうしょくさよう)が働くため、防錆塗装(ぼうせいとりょう)が不要になります。

 

犠牲防食作用とは…傷がついて鉄が露出したときに、亜鉛が鉄より優先して溶け、鉄の腐食が進行しない状態のこと。

 

④スペーサを取り付ける

次に、スペーサの取り付けを行います。スペーサは、C型に開いたスタッドの強度を保ち、振れ止めをスタッドに固定する材料のことです。両端とその間に、600㎜ピッチでスペーサを取り付けていきます。両端のスペーサはスタッドの設置を楽にするために、端より内側に下がってずらし、設置してからランナーの近くにセットするのがおすすめです。

 

⑤スタッドを設置する

スタッドのピッチは、張り付ける石膏ボードの枚数で異なります。1枚の場合は450㎜くらい、2枚の場合は300㎜くらいの間隔で設置していきます。設置するときは、上下のランナーに差し込み、90度回転させて取り付けましょう。スタッドの役割には、地震時にスタッドとランナーのズレでショックを吸収し、石膏ボードの破損を防ぐというものもあります。そのため、スタッドは固定せずに、動くようにしておくのが正しい状態です。

 

⑥振れ止めを取り付ける

振れ止めは、スタッドの揺れを防止するための材料です。下部のランナーから1.200㎜以内ごとの高さに取り付けるのが正しい状態ですが、上部ランナーから400㎜以内に振れ止めを設置する場合では、話し合いによって省略することもできます。そして、フランジ側を上向きにしてスタッドに通し、位置が確定したら貫通孔(かんつうこう)の溝に叩き込んで固定します。最後に、振れ止めが浮いてこないように、スペーサを叩き降ろしましょう。

 

⑦開口部を補強する

開口部には、補強材を取り付けます。主に、次の2箇所で補強が必要です。

 

  • 出入り口、窓等の開口部の補強
  • ダクト類の開口部の補強

 

①出入り口、窓などの開口部の補強

ドアや窓などの重さや振動、衝撃などが加わるため、出入り口や窓には補強材を使用します。垂直方向の補強材は、スタッドに抱き合わせて溶接します。このとき、端を押さえて600㎜程度のピッチで溶接し、組み立てたものを使用します。また、溶接箇所には、防錆塗料を施しましょう。

 

②ダクト類の開口部の補強

ダクト類の開口部の補強には、使用した種類のスタッドやランナーを活用します。上下枠補強材はスタッドに取り付け用金具を、縦枠補強材は上下枠補強材に取り付け用金具を、溶接や小ねじなどで取り付けます。また、振動や音が発生しないように、ダクト類が下地に直接触れないように施工するのも重要なポイントです。

 

LGSの規格と種類

LGSには、「JIS規格品」と「非JIS規格品」の材料が存在しています。官公庁や公共建築工事標準仕様書が採用された現場では、JIS規格品が採用されますので、覚えておいて損はありません。JIS規格品では、次の表のようなものが使用されています。

 

種類   スタッド(㎜) ランナー(㎜) 振れ止め(㎜) 出入り口およびこれに準ずる開口部の補強材(㎜) 補強材取り付け用金具(㎜) スタッドの高さによる区分
50形 50×45×0.8 52×40×0.8 19×10×1.2 高さ2.7m以下
65形 65×45×0.8 67×40×0.8 25×10×1.2 C-60×30×10×2.3 L-30×30×3 高さ4.0m以下
90形 90×45×0.8 92×40×0.8 25×10×1.2 C-75×45×15×2.3 L-50×50×4 高さ4.0mを超え4.5m以下
100形 100×45×0.8 102×40×0.8 25×10×1.2 C-75×45×15×2.3 L-50×50×4 高さ4.0mを超え4.5m以下

参考:公共建築工事標準仕様書(建築工事編)

 

JIS規格品とは、Japanese(日本) Industrial(産業) Standards(標準)の略称です。

 

【内装工事】LGSのピッチと施工方法について!規格も解説【まとめ】

この記事では、LGSのピッチと施工方法について解説しました。LGSの施工では、様々な作業が行われ、細かなピッチもとに下地を作っています。この記事をご覧の方の中には、ご自身でLGSの施工を行おうと思っている方もいると思います。しかし、ご自身で行うには今回紹介した知識や経験が必要になり、必ずしも納得のいく仕上がりになるとは限りません。プロに依頼することで、しっかりとした納得のゆくものが制作できますので、LGSの施工を考えている方は当社にご相談ください。

 

 

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