社内図書館は、本を読んだり借りたりできるオフィス内のライブラリースペースです。近年、知識向上やコミュニケーションのきっかけとして導入している企業が増えています。今回は、社内図書館を設けるメリットや効果的な運用方法、成功させるポイントについて解説します。
社内図書館とは?
まず、社内図書館の用途や目的、必要な広さについて解説します。
社内図書館ってどんな場所?
社内図書館は、従業員が自由に本を読んだり調べものをしたりできる、社内のライブラリースペースのことを言います。一般的な図書館と同じように、書籍や雑誌、写真集、資料などが揃えられています。その場で読むだけでなく貸出しを行うなど、企業によって運用ルールは異なります。
社内図書館の目的
主に、読書を通して従業員が新しい知識を得たり、知識を共有したりことを目的として設置されます。創造性アップやリフレッシュ目的の場合もありでしょう。企業によっては、福利厚生として社内図書館のなかにカフェスペースやリラックススペースを併設しているケースもあります。
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どんな本を置けばいい?
社内図書館には、業種や目的にあった本を選びます。例えば、業界に関した専門書や資料、論文などのビジネス系や、資格試験のテキストなど、キャリアアップやリスキリング系、知的好奇心や創造性を刺激するファッションやアート、カルチャー系などです。
どれくらいの広さが必要か
社内図書館の広さには、2通りのパターンがあります。1つはオフィスの一角に本棚を数台置いた程度の小さなスペース。2つめは、本棚だけでなくテーブルやチェア、ソファなどを置いて一般の図書館に近づけた広いスペース。専用の部屋を設ける場合もあるでしょう。社内図書館の広さは、オフィスの広さや予算によって選ぶことができます。
社内図書館を設けるメリット・デメリット
次に、図書館を社内に設けるメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
社内図書館のメリットや効果
まず、社内図書館を設けるメリットや得られる効果をご紹介します。
知識の向上と共有
社内図書館は、従業員の知識の向上と共有に役立ちます。身近に本や資料が揃っていることで、幅広い知識を得られたり、物事を深く理解できたりします。リーダーが感銘を受けた本を置けば、知識の共有ができ、従業員が同じ方向を見て仕事に取り組めるようになります。
スキルアップ
社内図書館は、従業員のスキルアップにも貢献します。読書は、集中力や思考力、発想力などを高めると言われます。手軽に本を手に取れる環境にあることで、業務に役立つスキルや教養を得られる機会が増えます。
社内コミュニケーション活性化が図れる
社内に図書館を設けることで、従業員同士のコミュニケーション活性化も期待できます。オフィスの共有スペースは、他の部署や交流の少ない人との接点を生みます。自由に話せるスペースを併設することで、本を介して会話や議論をしながら、知識を深めたり問題の解決策を見出したりできます。また、読書会や勉強会の開催もおすすめです。
モチベーションアップ
社内図書館の設置は、従業員のモチベーションアップや帰属意識の向上にも役立ちます。近年、テレワークやリモートワークが増加しました。通勤時間や労力の削減が可能になった一方で、コミュニケーションが不足してミスが誘発されたり、プロジェクトが遅れてしまったりという失敗も起こりがちです。
リフレッシュやアイデアの創出
社内図書館はリフレッシュやアイデア創出の場としても活用されます。業務に行き詰った時でも、本の世界に入り込むことで、頭がクリアになってリフレッシュできます。また、写真集や海外の書籍、おしゃれなデザイン集などを見ることで、創造性が刺激され、アイデア創出のきっかけになる場合があります。社内のライブラリースペースなら、業務中でも罪悪感なくリフレッシュできることも魅力です。
社内図書館設置のデメリット
続いて設置によるデメリットも知って対策しておきましょう。
コストや手間がかかる
社内図書館の設置や運営には、コストや手間がかかります。設置のためにオフィスの移転やレイアウト変更が必要になる場合も多く、本棚や什器も揃えなければなりません。蔵書についても、最初に選定して購入するだけでなく、入れ替えやPRなども継続しなければなりません。
十分なスペースの確保
社内図書館には、本棚の設置に加えてゆっくり読める十分なスペースが必要になります。無理やり狭いスペースに設けてしまうと、本が探しにくかったり、居心地が悪かったりして、稼働率が低くなってしまいます。せっかくライブラリースペースを作るなら、使いやすく快適な空間であることが求められます。
管理やメンテナンスが必要
社内図書館には、管理やメンテナンスも必要です。本の整理や清掃といった日常的な作業だけでなく、補修や並べ替えなどもしなければなりません。盗難や紛失防止の策も練っておく必要があります。誰が管理していくのか、予算はいくらにするかなど、事前にルールを決めた上で導入しましょう。
社内図書館の効果的な運用方法
続いて、導入後に効果的に運用するための方法について解説します。
目的に合ったレイアウト
社内図書館のレイアウトは、目的に合うものにしましょう。例えば、知識向上やソロワークを主な目的とした場合、衝立で仕切るなどした個人スペースが必要です。自席で業務を行うだけでなく、気分に合わせて働く場所を選べるようになります。
ニーズに合った本の選定
効果的な運用には、ニーズに合った本を選定することが大切です。外部委託も可能で、プロのブックディレクターに依頼する方法や、本に関するコンサルティングサービスなどもあります。一方自社で選定する場合は、各部署のリーダーがおすすめの本や影響を受けた本を選んだり、世代別に選定係を決めたりするとよいでしょう。
【社内図書館】本の選定方法とメリット・デメリット | |||
外部委託 | 自社 | ||
選定方法 | ブックディレクター (個人に依頼) |
コンサルティングサービス (会社への依頼) |
社内運営 (従業員) |
特徴 | |||
主な仕事内容 | ・企業に合った本の選定・陳列 | ・企業に合った本の選定・陳列 | ・本の選定・陳列 |
・読書会やイベントの企画 | ・読書会やイベントの企画 | ・運営(管理・メンテナンス) | |
メリット | ・常駐も依頼できる | ・幅広い分野からの選定ができる | ・コストが軽減できる |
・魅力的な本棚を作ってくれる | ・魅力的な本棚を作ってくれる | ・従業員同士のコミュニケーションのきっかけになる | |
デメリット | ・コストがかかる | ・コストがかかる | ・業務の負担になる場合がある |
・好みが合わない場合がある | ・担当者との相性が合わないことがある | ・幅広い選定が難しい |
居心地の良い家具の配置
社内図書館は、本棚や書庫を置くだけでなく、居心地の良い家具を配置することも重要です。公共の図書館では、大きなテーブルが一般的です。しかし、社内図書館は、2~4人用を組み合わせる方が良いでしょう。イベントや会議など、他の用途にも活用できます。
社内図書館を成功させるポイント4つ
最後に、社内図書館を成功させるためのポイント4つを解説します。
アクセスしやすい場所に設ける
社内図書館は、従業員がアクセスしやすい場所が向いています。人通りの少ないエリアやオフィスの奥は、静かではあるものの、立ち寄ることが面倒になったり、忘れられたりします。お手洗いや自動販売機などに行く際や、出退勤の際に目に入るような場所がおすすめです。スペースが広く取れない場合や、お試しで導入したいという場合には、ラウンジやリフレッシュスペースの一角に本棚や書庫を設置してみましょう。まずは小さなスペースから始めてみると、コストや手間が軽減できます。
Webやアプリを活用する
社内図書館の運用にはWebやアプリを上手に活用しましょう。本の貸し出し予約やリクエストは、オンラインで行えると便利です。自由に書き込める掲示板を設けて、自分が読んだ本の感想を投稿したり、他の人におすすめしたりすることで、コミュニケーションが生まれます。
情報発信を続ける
社内SNSやビジネスチャットを利用して、情報発信を続けることも大切です。社内SNSやビジネスチャットは、全社への迅速な情報共有が可能です。スマートフォンやタブレットがあれば、PCを持たない従業員もアクセスできることも魅力です。
ビブリオバトルの開催
ビブリオバトルは、本をプレゼンテーションし合うコミュニケーションゲームのことをいいます。大会が開催されたり、研修で取り入れられたりと、近年注目されています。企業ではこれまで、運動会や忘年会などを行うことで従業員同士の交流を図ってきました。
社内図書館を設けるメリットとは?運用方法とポイント4つ【まとめ】
今回は、社内図書館を設けるメリットや効果的な運用方法、成功させるポイントについて解説しました。社内図書館は、従業員の知識向上や社内コミュニケーションの活性化に役立ち、リフレッシュやアイデア創出にも役立ちます。昨今、テレワークの普及やお酒を介したコミュニケーションの減少により、従業員同士の交流の機会が減りつつあります。社内図書館を設けることで、読んだ本のレビューを書き込み合ったり、読書会やビブリオバトルを開催したり、本を介したコミュニケーションが生まれます。効果的な運用方法や成功のポイントを参考にして頂き、小さなスペースから導入してみてはいかがでしょうか。