オフィスの天井は、内装のデザインや快適性を左右する重要な部分です。オフィス移転やリフォーム・リノベーションの際は、天井の仕様やデザインだけでなく、天井高など様々な要素を検討する必要があります。ここでは、オフィスにおける天井の種類や最適な天井高さについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。
オフィスにおける4つの天井タイプを紹介
オフィスの天井は、大きく分けて4つのタイプに分類されます。デザインや施工方法などが異なるため、オフィスに最適な天井を選定しましょう。
スケルトン
スケルトンは、天井のボードを無くして天井裏がむき出しの状態となっています。一般的な建物は、柱や梁、スラブ(床)といった構造体が見えないように間仕切り壁や天井ボードが貼られています。しかし、スケルトンは構造体をあえて露出しているため、上階の床下が見えている状態です。そのため、通常であれば天井裏に隠れる配管や配線などもむき出しの状態となります。
メリット
スケルトンにすることで、天井を最大限高く見せることができ広々とした空間を確保できるというメリットがあります。また、デザイン性が高くオフィス以外でも採用されることが多い天井の仕様です。コスト面でみても、天井の内装材(ボード、クロスなどの仕上げ材)が不要なため、内装工事のコストを下げることが可能です。
デメリット
スケルトンは、設備工事の価格がアップするといったデメリットがあります。電気配線などを隠すダクト材が必要になるため、通常の工事と比較して材料代、手間代が発生します。通常であれば天井裏に隠れる配線や配管なども露出するため、見栄えの良い材料の選定が必要となります。
施工について
スケルトンの施工方法は、天井の配管作業などを行い、照明器具やエアコンなどの設備機器を設置して完了となります。ボードを張る工事が省略できるため、工期も短くなることがポイントです。天井裏の劣化具合などにより、全面塗装を行う場合もあります。
在来工法
在来工法は最も一般的な天井のことで、下地を組んで天井ボードを張り、クロスや塗装などで仕上げる工法となります。ジプトーンや岩綿吸音板と呼ばれる仕上げが不要な化粧ボードを張ることも可能です。
メリット
在来工法は、材料が比較的安価なため施工費用が抑えられるというメリットが挙げられます。また、デザイン性も豊富で、クロスや塗装など様々なバリエーションから選定することができます。照明器具など設備機器の配置も自由に決められるため、デスク配置に合わせたレイアウト設計が可能です。
デメリット
在来工法のデメリットとしては、照明器具や空調設備などの機器を移設または交換する場合に補修費用が発生することが挙げられます。例えば、ひとまわり小さな照明器具に変更する場合、開口を狭くする必要があるためボードで補修して仕上げ材を張るといった補修が発生します。
施工について
在来工法は、木軸下地の場合とLGS下地の2通りの施工方法がありますが、オフィスにおいてはLGSを使用することが一般的です。手順としては、天井下地、配管・配線作業、ボード張り、仕上げ(クロスや塗装)、照明器具・空調器具の取り付けといった流れになります。スケルトンと比較しても必要な工事が多く、工期が長くなります。
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システム天井(ラインタイプ)
システム天井(ラインタイプ)は、照明器具や空調設備などを天井と一体化して施工する天井で、部屋の長辺方向に天井が張られていることが特徴です。照明器具だけでなく、換気扇、空調設備といった天井に設置される器具もきれいに配置することができます。
メリット
天井の見た目が一列に揃っているため、見栄えが良く整然としたデザインになるというメリットがあります。また、照明器具などの配置変更がしやすく、デスク配置の変更などに柔軟に対応することができます。照明器具を均一に配置することができるため、部屋の照度にムラがなく明るさを均一に保つことが可能です。
デメリット
デメリットとして、天井の向きが決まっているため照明器具の設置位置を横向きに変更することができません。大幅なレイアウト変更を行う可能性がある場合はライン型ではなくグリッド型がおすすめです。また、システム天井に共通するデメリットですが、天井ボードはビスなどで固定されておらず、フレームにはめ込む仕様のため、地震時に脱落する危険性もあります。
施工について
金属製の下地を同一方向に組み、配線・配管などを行った後、天井材を設置します。その後、照明器具の取り付けを行います。システム天井は、天井材が容易に脱着できるため、配線・配管工事を後からでも行えることが特徴です。
システム天井(グリッド型)
システム天井(グリッド型)は、照明器具や空調設備などを天井と一体化して施工する天井ですが、見た目がグリッド型になっていることが特徴です。天井のグリッドに合わせたスクエア型の吹き出し口や照明器具を使用することが一般的です。
メリット
名前の通り天井がグリッド型となっているため、天井器具を自由なレイアウトで配置できるというメリットが挙げられます。また、すべての天井が簡単に外せるため、天井器具の配置変更や点検の際、容易に工事を行えるというメリットがあります。
デメリット
デメリットとして、ライン型天井よりもフレームの数量が多くなるため工事価格が高くなるという点が挙げられます。しかし、将来的にメンテナンスや天井器具の配置変更を行う場合に補修の必要がないため、最低限のコストのみで工事を行うことが可能です。また、ライン型天井と同様に地震時に脱落の危険性が考えられます。
施工について
金属製の下地を格子状に組み、配線・配管などを行った後、天井材、天井機器を設置します。グリッド型の天井も、天井材を容易に脱着できるため、設備工事や点検などを後からでも行えることが特徴です。
オフィスにおける最適な天井高
天井の高さは、面積とは異なり業務を行う上で直接的に関係するものではありません。しかし、天井高によってオフィス空間の感じ方が異なるため、オフィスを設計する上で重要なポイントとなります。
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オフィスにおいて天井高が重要な理由
オフィスにおいて、最適な天井高を確保することはとても重要です。理由として、同じ面積のオフィスであっても、天井高が異なるだけで空間の感じ方が異なるからです。面積に対して天井高さが低すぎると、圧迫感によりストレスを感じる可能性もあります。
一般的なオフィスの天井高
オフィス面積 | 最適な天井高 |
200㎡未満 | 2,600mm前後 |
200㎡~1,000㎡未満 | 2,600mm~2,900mm |
1,000㎡以上 | 3,000mm以上 |
一般的なオフィスの天井高は2,600mm程度といわれていますが、最適な高さはオフィス面積によっても異なります。
同じ天井高さであっても、オフィス面積に応じて感じ方が異なるためオフィス面積に合わせた天井高さの選定が必要となります。
天井を高くする方法
オフィスを開放的な空間にするためには、基準以上の天井高が必要です。しかし、天井裏の配管が多かったり、梁が邪魔をしたりすることで、天井高さを上げられない場合もあります。ここでは、そのような場合になるべく天井を高くする方法を紹介します。
スケルトン化
天井配管が多かったり、そもそも階高が低かったりといった理由で、天井高さを上げられない場合はスケルトン化がおすすめです。天井ボードをすべて撤去して天井裏を露出させることで天井高を高く見せることができます。露出した配管などを綺麗に整理したり、塗装したりすることでデザイン性の高い空間に仕上げることができます。
梁の露出
梁が原因で天井高さが確保できない場合は、梁を露出させてそれ以外の部分を高くするといった方法があります。梁下は天井高が確保できませんが、広々とした空間を作ることが可能です。
空調・照明設備の直付け
空調設備や照明設備は、埋め込み型と直付け型の2種類があります。埋め込み型の場合は、天井裏にスペースが必要ですが、直付け型の場合は埋め込むスペースが必要なくなります。そのため、機器の高さ分の天井を上げることができる可能性があります。
オフィスにあった天井を選定しましょう
本記事では、オフィス天井の種類や天井高について解説しました。オフィスの移転やリフォームを行う際、天井について検討することは非常に重要です。最適な天井を選ぶことによってオフィスの雰囲気や業務のしやすさが変わることがあります。ここで紹介した内容をもとに、自社のオフィスに最適な天井を選びましょう。