配線などを床下に収納できるOAフロアー。オフィスだけでなく、サーバールームや防災管理室、クリーンルームなど配線が多く必要な部屋に用いられることが多いです。しかし、OAフロアーといっても、用途によって様々な種類が存在するため、選び方に悩む方も多いのではないでしょうか。本記事では、OAフロアーの種類やメリットデメリット、施工可能な床仕上材を紹介します。
OAフロアーとは
OAフロアーとは、床下に配線できる空間を設けた床のことです。直置きするタイプや、支柱を立ててパネルを敷き込むタイプのものがあり、用途によって使い分けが可能です。OAフロアーと混同されがちなのが置床(二重床)です。置床は設備配管などを床下に配置することはできますが、床の工事完了後は閉鎖されてしまうため、床を解体するか点検口を開けない限り床下を確認することができません。
OAフロアーの種類を紹介!
形状の種類 | 耐荷重 | 高さ |
置敷式OAフロア | 3,000N程度 | 60mm~100mm程度 |
置敷式溝配線OAフロア | 3,000N程度 | 60mm~100mm程度 |
床高調整式OAフロア | 2,000N~15,000N程度 | 60mm~1,000mm程度 |
OAフロアーは様々なメーカーの商品があり、種類は多岐にわたります。ここでは、形状・耐荷重・高さに分けてそれぞれどのような種類が存在するかを紹介します。
OAフロアーの形状
OAフロアーは主に3つの形状に分類されます。
置敷式OAフロア
樹脂やプラスチック製で、脚とパネルが一体型となったOAフロアのことを指し、パネルの下に空間があり、配線を仕込むことができます。床に直置きするタイプのため、短い時間で施工ができ、価格も抑えられるというメリットがあります。しかし、材質が樹脂やプラスチック製のため重い重量のものを載せることができません。
置敷式溝配線OAフロア
置敷式OAフロアと同じく床に直置きするタイプで、パネル同士の隙間を開けて敷き込み、配線を仕込んだあと、隙間に蓋をする仕組みです。蓋を開ければ配線を取り出せるため、メンテナンス性に優れています。床下ではなく溝に配線するため、配線容量が少ないというデメリットがあります。
床高調整式OAフロア
支柱を立ててパネルを敷き込むタイプのOAフロアで、置敷式に比べて床の高さを上げることができます。床下空間を十分に確保できるというメリットがありますが、施工手間がかかるため費用は上がるというデメリットがあります。
OAフロアーの耐荷重
一般的なOAフロアの耐荷重は3,000N〜5,000N程度で、おおよそ1㎡あたり300kg〜500kgまで耐えられます。また、高耐荷重のOAフロアの場合、15,000Nというものもあり、オフィスでの使用から大型サーバー室まで、部屋の用途に応じて幅広く選定できます。
OAフロアーの高さ
置敷タイプのOAフロアの高さは30mm~100mmが一般的で、支柱タイプはさらに高さを上げることができます。1,000mmの高さまで施工可能なOAフロアもあるため、床下配線のボリュームや躯体形状に応じて様々な高さを選定できます。
OAフロアーの選び方
OAフロアはこれまで紹介した様に多くの種類があるため、優先事項を決めて選定する必要があります。
機能性で選ぶ
機能性で選ぶ場合、配線を点検する頻度に応じて選定すると良いでしょう。例えば、配線を点検する回数が多い場合は置敷式溝配線OAフロアがおすすめです。床をめくる必要がなく、蓋を外すだけで配線を確認することができます。機能性で選ぶ場合は実際の運用方法をイメージして最適なOAフロアを選びましょう。
価格で選ぶ
価格で選ぶ場合は、置敷式OAフロアがおすすめです。施工がしやすく、かつ樹脂やプラスチック製が多いので価格を抑えられます。ただし、耐荷重や高さの制限があるため、施工上、又は運用上問題がないことの確認も必要です。
耐荷重で選ぶ
OAフロアーの上に載せる機械や什器の重量がある場合は、耐荷重で選定する必要があります。耐荷重3,000N以上必要となる場合は、支柱を立てるタイプの床高調整式OAフロアを選定するのが一般的です。
高さで選ぶ
他の部屋と比べてOAフロアーを設置する部屋の床レベルが下がっている場合や、床下に配管などが通っている場合は、高さを重視して選ぶ必要があります。100mmまでの高さであれば置敷式OAフロアーで対応可能ですが、それ以上の高さが必要な場合は床高調整式OAフロアーを選定する必要があります。
OAフロアーのメリットデメリット
OAフロアーは多くのメリットがありますが、デメリットもあります。
メリット
OAフロアーは配線を床下に収納できるという大きなメリットがあります。床の上に配線を通す必要が無くなるため、以下のように、快適な空間を実現できます。
- 部屋がすっきりする
- 掃除がしやすい
- 什器の移動がしやすい
サーバー室など特殊な部屋だけでなく、PCを使用するオフィスで使用されることも多いです。
デメリット
OAフロアーはメリットだけでなく、デメリットも存在します。
- 耐荷重以上の物は載せられない
- 他の部屋と段差ができる
- 床仕上げが限定される
このようなデメリットがあります。リフォームによりOAフロアーを導入する場合は、床レベルが上がる分、他の部屋と段差が生じる可能性があります。そういった場合は、スロープにより対処することが多いです。
OAフロアーに関するよくある質問
OAフロアーについて、良くある質問をまとめましたので紹介します。
OAフロアーとフリーアクセスフロアーの違いは?
どちらも床下にケーブルやコンセントを格納できるスペースを設けた床を指すため、違いはありません。
OAフロアーと置き床の違いは?
どちらも床下に空間を設けた床ですが「床下点検のしやすさ」が異なります。OAフロアーの場合はタイルカーペットなどの仕上げ材と、パネルを簡単に外すことができるため、いつでも床下の点検が可能です。一方で置き床の場合、支柱を立ててパーチクルボードとベニヤ板を敷き、さらに長尺シートやフローリングなどで完全に床をふさぐことになります。
OAフロアーはどのような素材?
素材は様々で、樹脂製やスチール、コンクリート製などが主流です。アルミダイカストなど高耐荷重用のOAフロアーもあります。
OAフロアーに最適な床仕上材は?
タイルカーペットや、OAフロア専用のビニルタイルなど簡単に剥がせる材料が最適です。また、パネル自体に仕上材が貼られている製品もあります。
OAフロアーの主要メーカー
OAフロアーは様々なメーカーがあります。ここでは、一部を抜粋して紹介します。
株式会社アーレスティ
日本で初めてフリーアクセスフロア「モバフロア」を開発したメーカーです。東京スカイツリーや東京都庁舎など、大型物件での施工実績もあります。床高調整式OAフロアが主な製品で、耐荷重15,000Nの製品も扱っています。
紀陽産業株式会社
樹脂製の置敷式だけでなく、床高調整式の製品も扱っています。一般的なOAフロアーだけでなく、パネルにデザインを施したデザインOAフロアや強化ガラスパネルを使用したOAフロアなど他のメーカーにない製品も扱っています。
ニチアス株式会社
床高調整式の製品を扱っており、スチール製だけでなくコンクリート製の製品も扱っています。高さは60mm~1,000mmまで対応しており、建物の状況に応じて柔軟に対応可能です。
フクビ化学工業株式会社
様々な樹脂製品を扱うメーカーです。樹脂製の支柱を使用したOAフロアーが特徴で、疲れにくく快適な歩行感を実現できます。置敷式のラインナップも豊富で、オフィスなどでの使用に向いています。
センクシア株式会社
1960年代から商品開発を行っているフロアシステムの総合メーカーです。オフィス用だけでなく、データーセンターやクリーンルーム専用のOAフロアーも取り扱っています。
ナカ工業株式会社
手すりや保護材など建材製品を扱うメーカーです。置敷式だけでなく床高調整式、免震タイプのOAフロアーなど様々なラインナップがあります。
その他のメーカー
その他にも多くのメーカーがOAフロアを取り扱っています。
- 岡村製作所
- 株式会社スミノエ
- 株式会社昭電
- オーエム機器株式会社
- 万協株式会社
- 三洋工業株式会社
- 株式会社日本シューター
- ステップライン株式会社
- 共同カイテック株式会社
- AP平井工業株式会社
- アイリスオーヤマ株式会社
- 株式会社HIRA
- 株式会社トーワスクリュー
- 株式会社日立システムズ
- 日本ビルダー株式会社
- オーエイフロアサービス株式会社
≫ OAフロア(フリーアクセスフロア)の主要取扱メーカーを徹底解説
配線が多い部屋はOAフロアーがおすすめ!
OAフロアーは、オフィスの執務スペースなどで、配線をすっきりさせたい場合におすすめです。本記事では、多くの種類のOAフロアーを紹介しましたが、実際は、専門の工事会社が現地調査をしたうえで最適な商品をご提案します。当社では、オフィス工事について多くの実績があるため、OAフロアーを検討中の方は是非お気軽にお問合せください。