事務所移転は要注意!引越しに必要な各種手続きを詳しく解説

事務所の移転は一般個人の引越しとは違い、規模が大きく非常に大きな労力とコストが掛かります。特に移転に伴い必要となる手続きは非常に多く、経験したことのない方は困惑してしまうこともあるでしょう。今回は事務所移転時の手続きについてそれぞれ解説します。

 

事務所移転時に必要な各種手続き

移転時に必要な各種手続き

移転に伴い必要となる手続きは種類が多く煩雑なうえ、中には期限が決められているものもあります。ビルの管理会社との打ち合わせなど移転の計画づくりから現オフィスの解約予告や原状回復工事、新オフィスへの引越し準備で忙しいと、移転に伴う手続きを忘れてしまい期限を過ぎてしまう危険もあるため各手続の詳細とタイミングをしっかり把握しておくことが重要です。移転が完了してから「そういえばこの手続きやっていなかった」と漏れが発生しないよう、各手続のタイミングを整理するためにも移転前と移転後で大きく分けてみていきましょう。

 

 

事務所移転前に済ませておくべき手続き

事務所の移転前に必要になる主な手続きは次の4つです。

 

  手続き 届出先 タイミング
1 郵便物届出変更届 郵便局 移転先の住所と日程が決まり次第なるべく速やかに
2 自動車保管場所証明申請書 移転先の所轄警察署 移転後なるべく速やかに
3 防火対象物工事等計画届 移転先の所轄消防署 移転先の内装工事開始7日前まで
4 防火対象物使用開始届 移転先の所轄消防署 移転先事務所の使用開始7日前まで

 

①郵便物届出変更届

郵便物届出変更届は郵便局で行う手続きです。移転後の1年間、以前の住所に届いた郵便物を新しい事務所に転送するサービスを申し込めます。移転時はやることが多く取引先などへ移転の連絡漏れが発生しないよう注意を払わなければなりません。事務所の場所が変わったことを知らない取引先から以前の住所へ荷物が届けられると、受け取れず荷物が返送され印象を悪くしてしまう恐れがあります。

 

このサービスを申し込んでおけば、そういったリスクを回避でき1年間の猶予も得られるため、移転の前後で忙しいときでも気持ちに余裕が持てるでしょう。移転時には必ず活用するべき便利なサービスです。

 

申請する際は郵便局に直接足を運んで手続きをするほかに、オンラインで申請できる「e転居」というものもあるため少しでも時間を節約したいと考える方におすすめできるサービスとなっています。移転時の郵便物や宅配物に関しては下記の記事で詳細に解説しているのであわせてご覧ください。

 

≫ 会社・事務所の移転に必要な郵便や宅配に関する手続き【まとめ】

 

②自動車保管場所証明申請書

いわゆる「車庫証明」のことで車を保有するための手続きです。移転先住所を管轄する警察署にて行う手続きで、期限が明確に定められているわけではありませんが、この手続きを済ませないと車の保管場所を確保していることが証明できません。移転後は可能な限り早い段階で手続きを済ませておきましょう。

 

③防火対象物工事等計画届

事務所を移転する際、内装工事を行う場合は工事開始の7日前までに所轄の消防署へ行わなくてはいけない手続きです。届出には次の資料もあわせて提出する必要があります。

 

防火対象物工事等計画届にあわせて提出が必要な資料
・防火対象物の概要表
・案内図・平面図・詳細図
・立面図・断面図・展開図
・案内仕上表、建具表
・火気使用設備、火器使用器具の位置、構造等の状況を示した図

 

④防火対象物使用開始届

引越しが完了した後、事務所を使用開始する7日前までに所轄の消防署へ提出しなくてはいけない手続きです。③と名称が似ているため混同しがちですが、この手続きは内装工事の有無にかかわらず必ず提出しなくてはいけません。

 

事務所移転後に必要な手続き

事務所の移転後に必要となる手続きは以下の通りです。

 

  手続き 届出先 タイミング
5 事業所所在地変更届 所轄の年金事務所 移転後5日以内
6 名称所在地変更届 所轄の労働基準監督署
又は公共職業安定所
移転後10日以内
7 雇用保険事業所変更届 所轄の公共職業安定所 移転後10日以内
8 移転登記 所轄の法務局 移転後2週間以内
9 異動届 移転前と移転後それぞれの所轄税務署
移転前の所轄の都道府県税事務所
移転後速やかに
10 防火・防災管理者選任届 所轄の消防署 選任後速やかに

 

⑤事業所所在地変更届

移転後5日以内に所轄の年金事務所へ行わなくてはいけない手続きで、正式名称は「適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」といいます。こちらは窓口での申請の他に郵送やオンラインでの申請も可能です。

 

⑥名称所在地変更届

移転から10日以内に所轄の労働基準監督署か公共職業安定所へ提出する届出で、正式名称は「労働保険名称、所在地変更届」といいます。⑤に続きこちらも名称と所在地に関するもので似ていますが、届出先と期限が異なるため注意が必要です。また、都道府県をまたいで移転する場合、添付書類が異なることがあるためよく確認しておきましょう。

 

⑦雇用保険事業所変更届

移転後10日以内に所轄の公共職業安定所へ提出する書類です。オンラインでの申請も可能です。

 

⑧移転登記

移転前の所轄法務局へ行う手続きで、期限は移転後2週間となっています。ただし、支店を移転した場合の期限は3週間で、本店と支店で申請書類が分けられているため間違わないよう注意が必要です。

 

⑨異動届

異動届は法人税にかかわる届出で移転後速やかに済ませなくてはいけない大切な手続きです。届出先は移転前後の各所轄税務署と、移転前の所轄都道府県税事務所になります。

 

⑩防火・防災管理者選任届

移転後の所轄消防署にて行う手続きで、防火・防災管理者を選任したら速やかに届け出る必要があります。防火・防災管理者の選任は消防法にて規定されているため事務所移転時には必ず行わなければなりません。また、管理者を選任したらあわせて「消防計画作成届」も所轄消防署に提出する必要があるため、選任の際には忘れないよう確認しておきましょう。

 

第八条 学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店(これに準ずるものとして政令で定める大規模な小売店舗を含む。以下同じ。)、複合用途防火対象物(防火対象物で政令で定める二以上の用途に供されるものをいう。以下同じ。)その他多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め、政令で定めるところにより、当該防火対象物について消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わせなければならない。

引用元:消防法|e-GOV法令検索

 

防火関連の手続きは業者との連携が重要

移転に伴う防火関連の手続き

ご覧いただいたように移転時の手続きは数が非常に多く煩雑です。移転の計画を進めながらすべての手続きを済ませなくてはいけないと考えると「かなり大変そう」と感じることでしょう。特に以下のような防火に関する手続きは内装工事や移転後の事務所使用の開始にも直接かかわってくるので内装業者などとよく話し合って計画を練っておくことが大切です。

 

防火にかかわる手続き
・防火対象物使用開始届
・防火対象物工事等計画届
・防火、防災管理者選任届
・消防計画作成届

 

もし業者選びで迷っているなら

移転を検討している経営者や段取りを任された担当者の方で「何から取り掛かればいいのかわからない」「コストを抑えられる業者に頼みたい」とお悩みならぜひオフィスボールへご相談ください。当社では移転の際に廃棄されるオフィス家具やパーテーションの買い取り、または無料でのお引取りが可能なため余計なコストを抑えられます。また、協力会社との提携で単純な引越し作業の他にも旧事務所の原状回復工事や新事務所のデザインから内装工事、レイアウトもワンストップで承ることが可能なためトータルでのコストが抑えられ、複数の業者に依頼する手間も省けます。他社との相見積もりや現地調査も可能なため、まずはお気軽にお問い合わせください。当社の経験豊富な専門スタッフが徹底的にサポートいたします。

 

手続き以外にもやっておくべき作業

オフィス移転手続き

移転にはこれまで上げた手続きの他にも重要な作業があります。以下が移転前に済ませておくべき主な作業です。

 

移転前に必要な作業
・移転案内作成と送付先リストの作成
・各種印刷物の住所変更
・印鑑や名刺の住所変更
・従業員の通勤定期の変更

 

移転案内作成と送付先リストの作成

顧客や取引先への移転案内は重要です。先にも触れましたが移転の案内が行き届いていないことで思わぬトラブルに発展してしまう可能性もあるので、機会損失を避けるためにも前もって準備しておかなければなりません。郵便物の転送サービスがあるとはいえ取引先に移転が伝わっておらず前の事務所に担当者が訪ねてくることもあり得ます。そのような事態になってしまうと移転の告知がなかったことに悪い印象を持たれてしまうでしょう。そういった事態にならないよう、遅くても移転の1か月前には顧客や取引先に案内がいきわたるよう移転案内と送付リストを作成しておくことをおすすめします。

 

各種印刷物の住所変更

封筒や伝票類、パンフレットといった各種印刷物に記載されている会社住所の変更も忘れてはいけません。印刷物に記載されている住所が変更されていないと、郵送物やパンフレットを見て会社を訪れた人は間違った住所へ向かってしまいます。郵送物に関しては転送サービスを利用していれば新しい住所に届けてもらえますが、訪問者が前の住所に行ってしまうと困惑してしまい会社の信用にも影響してしまいかねません。印刷物に記載されている住所の変更も事前に済ませておきましょう。

 

印鑑や名刺の住所変更

前項に加えて社判やゴム印といった印鑑の類や名刺の住所変更も同様に欠かせません。取引先にみられる会社の外見にあたる部分になるため、会社の信用を守るためにも必ず変更しておきましょう。

 

従業員の通勤定期の変更

事務所の移転に伴い社員の通勤経路が変わることが予想されます。その際、会社都合で従業員の負担が増えるという事態は避けるべきでしょう。中には事務所が変わることで慣れない環境にストレスを感じてしまう従業員もいる可能性があります。そのうえ移転によって交通費をという出費が増えると、従業員の仕事に対する意欲の低下や会社への不満にもつながってしまうリスクがあるので適切な対応が必要です。そのためにも月の中頃など定期券の途中で移転する場合は、あらかじめ従業員が定期券の残った日数分を払い戻せるように段取りしておくか、事務所が変わったことで生じた交通費を補填するなどの対応が必要になるので、移転が行われる前段階から考慮に入れておきましょう。

 

事務所移転は要注意!引越しに必要な各種手続きを詳しく解説【まとめ】

事務所移転の際に必要な手続きについて解説しました。事務所の移転は会社にとって大きな行事であり、移転の際はいかにコストを最小限におさえスムーズに事を進めるかが大切です。手続きに漏れがあると思うように移転作業が進まず、事業に影響が出てしまう可能性もあります。そういったリスクを回避するためにどのような手続きが必要で、どのタイミングで、どこに届け出ないといけないのかをしっかり把握しておかなくてはいけません。滞りなく移転が行えるよう、移転に伴う手続きをあらかじめ確認した上で計画を進めていくことをおすすめします。手続きを段取りに含めた計画作りが不安な方は、当社オフィスボールまでお問合せください。経験豊富な専門スタッフが状況に合わせて適切に移転をサポート致します。安心して新しい事務所に移れるよう綿密に準備しておきましょう。

 

 

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