『内装工事でダイノックシートって言葉が出てきたけど、どんなものなの?』と悩んでいませんか。ダイノックシートとは大きなプリクラです。この後の記事でどういった特徴があるのかをメリットやデメリットとともに紹介し、施工事例や施工にかかる費用の目安をご紹介します。
ダイノックシートとは?
ダイノックシートを一言で表現するならば、とてつもなく大きなプリクラです。というのも、表面は自然素材やスタイリッシュなデザインの柄を印刷することができ、裏面はシールのように接着剤がついているからです。ダイノックは、表面に高級な石の代表である大理石の模様やリアルな高級木材の木目をプリントすることで、あたかも高級素材を使っているかのように見せかけることができます。その一方で裏面は接着剤がついているので、木材や石膏ボードに貼り付けることができて、実際に高級な石を使うこともなく本物のような見た目を再現できるのが大きな特徴です。
オフィス用語集にもダイノックシートの記述がありますが、壁紙ではなく化粧フィルムなので、大きなプリクラと言って差し支えないでしょう。一般的に使われている用語として、ダイノックといえば写真のような鮮やかな粘着できるシートのことを言うのが通例です。正確に言うのであれば塩ビ製のタックシートのことを言います。
そんなダイノックシートですが、メリットもデメリットも持ち合わせています。まずはメリットから見ていきましょう。
内装工事でダイノック使用のメリットは意匠性と耐久性
内装工事で使用するに当たり、ダイノックのようなフィルムを使うメリットは以下です。
- コスパが良くておしゃれ
- 耐久性が高くて耐用年数が10年もある
- 曲面にも使用できる
順番に説明していきましょう。
メリット1:コストパフォーマンスが高くておしゃれ
ダイノックを内装工事で使うメリットは、コスパが良くておしゃれなことです。ダイノックシートはあくまでもフィルムであり、結局写真にもかかわらず実物の石や木などのように素材の風合いを感じさせます。そのため大理石を使わなくても、石膏ボードやコンパネなどの木下地に大理石模様のダイノックシートを貼り付けることで、高級感のある壁の実現が可能です。本来であれば、高級で重量のある石を支える下地もしっかり組まないといけないので、施工費用も材料費用もとてつもなく高くなります。ですが、ダイノックシートであれば安い下地に貼り付けることが可能なので、コスパ良くおしゃれな内装を実現できるのです。
メリット2:耐久性が高くて耐用年数が10年もある
メリットの2つ目は耐久性が高いことです。一般的なクロスの耐用年数は6年ですが、ダイノックシートの耐用年数は10年あります。頑丈で傷がつきにくく、4年も長く使えます。クロスは爪でひっかいたり、テーブルや椅子などの家具をぶつけると破けてしまいますが、ダイノックは打撃跡のような傷がつく程度で済むでしょう。ダイノックは少しくらい爪でひっかいても傷すら付きません。むしろ、ダイノックの上から衝撃を受けた場合は、下地にダメージを受けて下地がへこむことでダイノックの壁が傷ついているように見えるケースもあるでしょう。少し汚れたら水拭きすればきれいになるので、壁紙よりもメンテナンスも楽ちんです。
メリット3:曲面にも施工できる
メリットの3つ目は曲面にも施工できることです。一般的なクロスを曲面に施工しようとすると、2次元の曲面まではなんとか施工できますが、3次元の曲面には施工できません。やってやれないことはありませんが、難易度が高すぎます。しかし、ダイノックであれば車のような3次元の立体的な曲面や電球のような球面にも施工可能です。ダイノックシートはドライヤーなどで温めると柔らかくなり伸びます。伸ばしながら貼り付けることで車のような3次元の曲面にも貼り付けられます。そのため、デザインの自由度が高いことがメリットの1つと言えるでしょう。
ダイノックシートを内装工事で使うデメリットは高値
ダイノックシートを内装工事で使うデメリットは以下です。
- クロスに比べて値段が高い
- 下地の精度が高くないといけないから職人を選ぶ
順番に説明します。
デメリット1:壁紙に比べて12倍ほど素材が高価
ダイノックシートのデメリットは、クロスに比べて値段が高いことです。一般的なクロスと値段を比べると8倍から12倍ほど金額に違いがあります。なぜ値段が高いかというと、単純に品質が高いからです。耐久性が高いため素材の値段も高くなりますし、デザイン性も高いので普通のクロスと値段を比べるのはおこがましいかもしれません。ダイノックの値段は壁紙の売値を余裕で超える10倍ほどの価格ですが、品質もちゃんと壁紙以上です。
デメリット2:下地の精度を高くしないといけない
デメリット2つ目は、下地の精度を高くしないといけないことです。ダイノックはフィルムの厚みが0.2ミリであり、4ミリ程度のクロスに比べてとても薄いです。そのため、下地のでこぼこがクロスに比べて目立ちます。クロスであれば気にならないパテの不陸も、ダイノックでは下地に1ミリの段差しかなくても影やよれができて仕上がりに浮きや段差ができてしまいます。そういった理由もあり、下地を施工できる職人はレベルの高い限られた職人だけです。その結果、下地を含めた施工費もクロスより高くなります。
ダイノックシートと似たデザイン系の内装仕上素材
ダイノックシートと似たようなデザイン性の高い内装仕上工事の素材は以下です。
- ベルビアンシート:シーアイ化成社
- リアテックシート:サンゲツ
- パロアシート:積水化学工業
- オルティオ:アイカ工業
どれも素晴らしい製品であり、意匠性も耐久性も高いです。近年の技術開発レベルはどこも高いので、3M社に限定せず他の会社の化粧フィルムを選択肢に入れるのも良いでしょう。
内装工事でのダイノックシートの施工事例
ダイノックシートは内装工事で広く使用されています。耐久性が高くて耐水性もあるので、クロスが使用できない場所でも使えるからです。たとえば、次のような場所で使用されます。
- リビングやオフィスなどの室内ドア
- 浴室の壁
- 窓枠
- キッチンの壁
なぜダイノックが施工されるのか、どのように施工されるのか、それぞれの場所での施工の例をご紹介しましょう。
見た目が大切なリビングやオフィスなどの室内ドア
よくある内装工事でダイノックシートを使用する事例の1つは、リビングなどの室内のドアです。なぜなら、ドアは普段から触れる場所ですので、傷が付きやすい箇所だからです。あなたは障子を使ったことがありますか?障子はいつの間にか紙が破かれていたりします。普段から使っている建具はそれだけ傷つきやすいのです。
在来やユニットの浴室の壁
浴室の壁にもダイノックはよく使われます。なぜなら、バスパネルに塗装をしたりするのは、普段から浴室を継続使用しながら工事するとなると難しいからです。塗装は乾燥期間も必要ですし乾いてからでないと浴室を使用できません。ですが、ダイノックは多少湿気があっても問題なく施工できます。裏紙を剥がして粘着部分をペタペタ貼るだけなので、簡単に施工できるのです。ぼろぼろになってしまったお風呂がダイノックで石張りのような高級感あふれる浴室になると、とても感動します。
ボロボロの窓枠
ダイノックシートは窓枠の改修にもよく使用されています。ダイノックは大きなプリクラでありステッカーですから、細かな部分へ切り貼りするのも簡単だからです。入隅や出隅が小さな寸法で繰り返される窓枠は、素人がDIYで施工するのは難しい箇所でしょう。プロが施工すれば1日であっという間に終了します。
防水性や防火性が必要なキッチンの壁
キッチンの壁にもダイノックシートは使用可能です。ダイノックは耐火性も耐水性もあるからです。キッチンの壁は内装の中でも抜群に耐久性が必要な場所です。水回りですから壁はびしょびしょに濡れますし、コンロは火を使うので燃えるような素材は使えません。そうなると、必然的にステンレスパネルが選択されることが多いです。昔ながらの住宅はステンレスパネルを貼り付けている場所が多いですよね。最近だと、さすがにステンレスをおしゃれなキッチンとは呼びにくいので、ダイノックや防火性の高い壁紙を使用している例があります。壁紙だと濡れた部分を拭くと破けやすいですが、ダイノックならふきんで拭いても破れません。
内装工事でかかるダイノックシートの施工費用
内装工事でダイノックシートを施工する場合の費用は、1万円/㎡※1が基準です。クロスの一般的な施工単価が1000円/㎡※2程度であることから考えると、およそ10倍の料金です。ホワイトトラバーチンのような大理石であれば2万円/㎡※3ほどになりますから、安く見栄えの良い内装にしたい方に向いています。
※1 3M™ ダイノック™ フィルム 見本帳
※2 サンゲツ図書館 価格表
※3 建材ネット ホワイトトラバーチン 本磨き
ダイノックシートとは?内装工事でのメリットや施工事例を紹介【まとめ】
この記事では『内装工事でダイノックシートって言葉が出てきたけど、どんなものなの?』
『メリットがあるなら使ってみたい』と悩んでいる方に向けて、ダイノックとは何なのかをメリットやデメリットとともに紹介し、施工事例や施工にかかる費用の目安をご紹介しました。