オフィスを間仕切るパーテーション。受付、執務室、会議室など使われる場所は様々です。パーテーションドアにも色々な種類があり、防犯対策にも活用できることをご存知ですか?今回はパーテーションドアの種類と特徴をご紹介し、ドアまわりでやるべき4つの防犯対策も解説していきます。
パーテーションドアの種類と特徴
まずはパーテーションドアの種類と特徴、それぞれどんな場所に向いているかをご紹介します。
片開き型パーテーションドア
片開きドアは幅約90㎝の1枚の扉で、押したり引いたりことで開閉します。最もオーソドックスで金額もリーズナブルです。一般的には部屋内にむけて開けますが、狭い部屋や行き止まりにある部屋などでは廊下側に開ける場合もあります。
親子型パーテーションドア
親子ドアは幅約120㎝で、片開きサイズの親ドアと小さい子扉の2枚を合わせたものです。普段は子扉を固定したまま、親扉を開閉して使用します。人が多数出入りする時や、荷物の出入りがある場合に子扉も開けて間口を広くして使用できます。会議室や倉庫に向いています。
両開き型パーテーションドア
両開きドアは幅約180㎝で、片開きドアを2枚組み合わせています。2枚の扉を開けることで開口部が大きくなり、大きな荷物の搬入時には便利です。親子ドア同様、人が多数出入りする部屋や、荷物の搬出入が多い場所で採用されます。大人数の会議室や倉庫に加え、工場や作業場などにも向いています。
引き戸型パーテーションドア
引き戸は上部のレールでドアを吊り、横にスライドさせて開閉します。スライドドア、ハンガードアとも呼ばれます。軽い力で誰にでもスムーズに開閉でき、扉の前後にスペースがない場合におすすめです。自動ドアやバリアフリー仕様などバリエーションも豊富で、閉まる途中から自然にスピードが落ちる安全装置付きもあります。オフィスでは通路や室内が狭い場所、また高齢者・幼児施設での利用にも向いています。
ガラス型パーテーションドア
ガラスドアはスチールやアルミの枠がある框ガラスドアと枠がない強化ガラス製のテンパーガラスドア、ダブルガラスドアなどがあります。ガラスパーテーションとの組み合わせで採用されることが多く、クリアで美しい空間にマッチしています。片開きや引き戸、開口部が90㎝以上あるバリアフリー仕様もあります。スタイリッシュでおしゃれな印象となり、会議室や応接室など、外部の人も利用する特別な場所に最適です。
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非接触自動ドア
これまでも引き戸には非接触の自動開閉式ドアはありましたが、新型コロナウィルス対策として、非接触の自動スイングドア(開き戸)も近年いくつかのメーカーで開発されました。セキュリティカードや手をかざすだけで開閉ができ、リスクを低減できます。書類やノートパソコンを持ったままでも出入りしやすく、不特定多数の人が使用する受付や会議室のドアに向いています。
パーテーションドアにはどんな防犯対策をすべきか?
ここまでパーテーションドアの種類と特徴をご紹介してきました。次にパーテーションドアの防犯対策への活用方法もご紹介します。警察庁の調べによると、令和2年の窃盗被害の発生場所で住宅の次に多いのがオフィスや事務所でした。
警察庁住まいる110:住まいる防犯110番 (npa.go.jp)
オフィスで盗まれるものは、パソコンや金庫の現金、株券、契約書や機密書類などです。パソコン自体だけでなく、なかの情報や顧客データも売られてしまう被害が起きています。パーテーションドアに防犯対策をすれば、窃盗の抑止効果や、不法侵入にかかる時間を長引かせることができます。ここからは、オフィスのどこにどんな防犯対策をすべきか解説します。
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どの場所に防犯対策が必要なのか?
個人情報保護法でも、個人情報を扱う事業者は「物理的安全管理措置」を講じなければならないと定められ、その手法として管理区域の入退室管理や盗難対策が必須となりました。
≫ 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)
オフィスでは執務室にパソコンが置かれ、パソコン本体やなかのデータの盗難のおそれもあることから、執務室のパーテーションドアには対策が必要です。経理が独立している場合にはそちらにも必要となります。サーバールームも高いセキュリティが求められ、防犯対策は必須です。その他個人情報を保管している場所があれば、防犯対策が必要となります。
パーテーション施工で今すべき防犯対策4選
次に、パーテーションドアまわりで具体的にどんな防犯対策をすべきか、4つの方法を解説します。ドアはほとんどのタイプで対策を講じることは可能で、なかでも片開きタイプは一番隙間が少なく、セキュリティ面で優れています。
入退室管理
1つ目は入退室管理システムの導入です。パーテーションドアで入退室管理を行うことで、いつどのエリアに誰が出入りしたのか遡って調べることができ、トラブルが発生した際にも記録が役立ちます。入退室管理と一口に言っても方法はたくさんあります。配線工事不要ですぐに使えるものや配線工事が必要で幅広い用途に使えるものなどバリエーション豊富なので、それぞれの特徴をご紹介します。
配線工事不要なもの
暗証番号錠(テンキー)
電気を使わず、暗証番号で解錠できるメカニカル構造です。電池も配線工事も要らず、使い方もシンプルです。デメリットは同じ番号を長く使用しているとそのボタンの色や数字が薄くなり、暗証番号が特定されやすい点で、使用頻度の低い場所に向いています。
電池錠
電池を使用した電子錠で、カードやデジタルテンキーで解錠できます。比較的低コストで導入できます。使うたびに数字の配列が変わるランダムテンキーは、ボタンの磨耗によって暗証番号が特定されることを防ぎます。もし第三者に解錠しているところを見られても、設定した数字が分かりにくい点もメリットです。デメリットは電池交換の手間がかかること、また電池が切れた場合にオープン状態やマスターキーを使わないと解錠できなくなることです。
スマートロック
電池錠の発展型として最近人気なのがスマートロックです。既存ドアに簡単に取付けられ、クラウド上で管理ができます。スマートフォンや社員証などが鍵となり、web管理ツールを使い、入退室ログの確認や入室権限の設定などが可能です。特殊な接着テープなどでドアの鍵のつまみ(サムターン)に貼り付け、外す時もドアを傷つけず、移設、移転する際も再利用できます。また緊急時は手動で解錠できるものや、クラウド上で電池残量が確認でき、電池が少なくなると自動的に送られてくるサービスなどもあります。デメリットとしては、クラウド利用のため月額費がかかるので、ランニングコストは確認が必要です。
配線工事が必要なもの
電気錠
電気を使用した電子錠で、カードや生体認証などで解錠ができます。入退室管理、勤怠管理、警備員の駆けつけサービスなどとの連動が可能で、幅広い用途に使用できます。電池交換の必要もなく、受付や執務室の入口など使用頻度の高い場所に向いています。生体認証はカード紛失時などの業務負担を軽減し、認証方法も選択できます。指紋認証をはじめ、静脈認証や顔認証などがあります。顔認証は、マスク着用時も対応できるものや体温チェックも同時にできる製品も開発されています。デメリットは設置時に電気の配線工事やパーテーションドアの加工が必要になることです。
侵入防止バー
2つ目はパーテーションの欄間(ランマ)部分に取り付ける侵入防止用のバーの取付けです。強度と耐久性に優れたステンレス製で、天井高(ランマ高)によって本数が決まります。人が通れないようにする必要があり、約20㎝間隔で設置します。サーバールームでは熱がこもらないようにランマを開けることが多く、温度のコントロールと安全性の両立を可能にします。
防犯カメラ
3つ目は、防犯カメラの設置です。防犯カメラは設置するだけでも犯罪の抑止効果を得ることができます。スマホと連携して監視できるタイプではオフィスにいなくても人の動きを感知して知らせてくれるので安心です。コロナ以降、在宅勤務をする人が増え、オフィスが留守になりがちな会社もあると思います。パーテーションドアまわりに入退室管理と合わせて使用することで、ドアを解錠した人の後から付いてオフィスに侵入する共連れの防止にも役立ちます。
防犯ガラス・防犯フィルム
4つ目は防犯ガラス・防犯フィルムです。防犯対策を講じるべき場所のガラスドアや窓付きドアは防犯ガラスにすることをおすすめします。防犯ガラスは2枚のガラスの間に中間膜やポリカーボネートを挟んだ合わせガラスです。ドライバーやバールによるこじ破り、打ち破りにも高い抵抗力を発揮します。よく網入りのガラスを防犯ガラスだと勘違いされますが、網入りガラスは熱や火でガラスが溶けた時に飛び散りにくい製品です。また強化ガラスもバールなどを使えば割れてしまうため、やはり防犯目的では防犯ガラスを使うべきと言えます。また既存のパーテーションのガラスドア、窓付きドアには、防犯フィルムがおすすめです。防犯フィルムは破られにくい強靭なフィルムで、5分以上の耐貫通性をもつ製品もあります。ガラスが破られた際の破片が飛び散らないようにする飛散防止効果もあります。
パーテーションドアの種類・特徴を解説!今すべき防犯対策4選【まとめ】
今回はパーテーションドアの種類と特徴をご紹介し、パーテーションドアにやるべき4つの防犯対策についても解説しました。パーテーションドアにはたくさんの種類があり、どれを選定してよいか迷った際はぜひ参考にしてください。ドアの選定に大事なのは、どこでどのような目的で使いたいか明確にすることです。パーテーション施工の際にはドアまわりの防犯対策も合わせて検討いただき、大切な資産や情報を守ってください。