時間がない、お金もない、人の手も借りたい!という成長過程にあるベンチャー企業が限られた環境の中でどうやってオフィス移転を進めているかご存じですか。日常の業務が忙しい中で、業務とオフィス移転を同時に進めるベンチャー企業の経験者がオフィス移転を効率的にできるよう事前に知っておくと役に立つ豆知識10選をピックアップしました。
1. オフィス移転に必要な期間は?
一般的に企業がオフィス移転をするためにかかる期間はおよそ約1年間です。退去したい時期から逆算して、その旨を6カ月前に管理会社へ連絡する必要があるため、移転を決めてすぐに退去はできません。加えて、移転先の要件定義や内覧などの検討期間と、入居先の電気/通信工事や内装工事、引っ越し作業を合わせると約1年間はかかるということになります。ただし、ベンチャー企業の設立時は代表の自宅やシェアオフィスに入居しているケースが多く、退去まで時間がかからない場合もあるので、事前に退去予告は何カ月前なのかを確認してから移転計画を進めましょう。
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2. この時期は避けたい!オフィス移転におすすめの時期はある?
一番避けたいのは、オフィス移転の繁忙期である春頃、秋頃、12月です。決算月が集中するこの時期は、年度内に移転の予算を組みたい企業の都合上、繁忙期となりやすくなります。特に3月と12月はベンチャー企業が最も避けるべき時期です。3月は一般家庭の引っ越しも多く、引っ越しに関わる業者が一番の繁忙期となるため、業者とのスケジュール合わせの自由度が低くなります。
また、12月も年末がある関係で営業日が少なく、多くの業者が年末年始休暇に入るため、電気/通信、内装工事や引越し作業の日程調整が組みにくくなります。総務部などのバックオフィスが不在であり、代表自らが移転に関する業務を行うベンチャー企業にとって繁忙期に移転計画を立ててしまうと、費用が高くなる上に、業者とスケジュール合わせることが難しくなってしまいます。
3. 内覧をする前に移転先物件で重視する要件の優先順位を決める
オフィス移転を効率的に進めるために、オフィス移転で重視するポイントの優先順位を明確にしてから物件の内覧をしましょう。要望をすべてクリアする物件を待っていると移転の計画はなかなか進みません。オフィスの場所を変えると通勤に便利になる人とそうでない人が必ず出てきます。また、採用のために若者が集まりやすいエリアにこだわると主張する人もいるでしょう。
良いなと感じる物件は大抵は他の人も良いと感じ、検討しているので、悩んでいる間に他社が申し込んでしまい、いざ決心をきめて申し込みをしよう!と業者に連絡すると既に決まっていた、ということも少なくありません。もう少し早く申し込みをしておけば良かった、ということが起きないように、効率的な内覧ができるように事前に優先順位を明確にしておきましょう。
4. ベンチャー企業がオフィス移転にかかる主な費用
オフィスの移転には大きく分けて3つ費用のかかるものがあります。
- 引っ越し費用
- 新事務所開設の費用
- 旧事務所の原状回復費用
会社設立時は初期費用を抑えるために自宅やシェアオフィスに入居しているベンチャー企業が多く、ベンチャー企業にとって一番重要なのは新事務所開設の費用となるでしょう。費用の内約は一般的に、仲介手数料、保証金、礼金、共益費、前払い家賃1カ月分、火災保険料です。なお、通信や電話回線などのインフラ工事は会社の業種や規模によって予算が変わります。セキュリティ機能の高い通信環境や大きなサーバーが必要な場合など自社のインフラ環境が特殊である場合は要注意です。また、オフィスに置く家具は購入する場合とリース契約する場合とで価格が変ります。オフィス移転では一度に大きな支払いが発生します。予想外の予算オーバーをとならないよう、どこにコストがかかるのかをチェックし、しっかりと予算計画を立てるようにしましょう。
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5. 引っ越したい物件が決まった後の「申し込み」とベンチャー企業の場合の「入居審査」
要望に合うオフィス物件を見つけたら、仲介業者経由で物件オーナーに会社の登記簿や事業規模を書いた書面を渡す「申し込み」をします。その「申し込み」に基づき、物件にふさわしい入居者かどうかはオーナーが判断します。これを「入居審査」と呼びます。「入居審査」には物件オーナーによる独自の審査基準があります。必須項目として家賃の不払いが発生しないかを判断する、企業の社会的信用と、申し込みした企業の業種と建物との相性が見られると言われています。
物件オーナーは帝国データバンクなどで、その企業の社会的信用度を図ることが多いため、設立年度の浅いベンチャー企業にとって、入居審査は一つの山場となります。物件オーナーによっては最初から設立◯年以内はNG、この業種はNG、などと決めている場合があります。ベンチャー企業にとって厳しい場面ではありますが、直近数年間の決算書、事業計画や資金調達の概要などを追記することによって相談できるケースもあるので、入居審査に必要な書類を仲介業者に確認しましょう。
6. SOHO物件のメリットとデメリット
オフィス移転の中には、住居兼事務所タイプの建物、つまりSOHO物件に入居するというケースがあります。SOHO物件のメリットは事務所タイプよりも、賃料や初期費用が安いという点でスタートアップなどのベンチャー企業では候補に上がりやすいでしょう。しかし、注意点としてバスルームなど事務所とは関係ないスペースがあること、ネット回線や電気容量が一般家庭と同じため、業種によっては容量不足になることがあげられます。また、住居用の建物のため、企業名の看板が設置できないことが多く、不特定多数の方が訪問する機会が多い業種や、夜間の騒音でクレームが出ることを懸念して物件オーナーは業種によって断るケースがあります。入居したい物件がSOHO物件の時は仲介業者に自身の業種は入居可能かを確認しましょう。
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7. ベンチャー企業におすすめのデスクレイアウト
机の配置は色々ありますが、ベンチャー企業に特にお勧めなのが「フリーアドレス」型のレイアウトです。「フリーアドレス」とは固定席や仕切りがない、大きな机を複数の人数で使用するレイアウトです。メリットは多く、一人が占有するスペースが狭まるため賃料のコスト削減につながり、決まった席がなく従業員の席が流動的になるため、社内コミュニケーションを活性化することに効果的です。また、退社する際は荷物を置きっぱなしにできないのでオフィス環境整備もしやすくなります。
8. ベンチャー企業ならでは?DIYでオフィス作りも
ベンチャー企業は大手企業と異なり、バックオフィスの人員が十分でないため代表自ら自身の時間を削り、内覧や仲介業者とのやり取りに時間を割かなければなりません。しかし、ベンチャー企業には若さと体力があるため、棚や机をDIYして作るなど、会社の社員が一丸となって職場環境を作ることができます。内装工事には通信/電話回線などの工事や、壁やパーティションの取り付けなど専門業者に依頼しなければできないこともありますが、棚など一般家庭でもDIYができるものはオフィスでも使用可能です。社員との共同体験ができるという前向きな手間として、社内の家具を『一つだけでもDIYしてみる』という選択肢もあるので覚えておきましょう。
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9. オフィス家具の選び方
オフィス家具の手配方法は以下の3通りあります。
- 業者から新品で買う/レンタルする
- 業者から中古で買う/レンタルする
- 大型家具量販店などで自ら仕入れる
Google検索などで業者を調べるだけでなく、オフィス仲介業社や内装工事業者からの紹介で家具を購入することが可能です。特に内装工事を行う場合には、内装と設置する家具のデザインを合わせることもあるため、内装工事業社にまずは確認し、自身でも調べるようにするのが良いでしょう。
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10. 内装工事業者の種類と選び方
内装工事業者は大きく以下の3種類あります。
デザイン専門の設計/建築事務所
デザイン性の高い内装を望む場合に適した業者ですが、その代わり時間と予算がかかります。
設計や施工をする内装業者
設計から工事をワンストップで行う業者のため、デザイン専門の業者のように飛び抜けたデザイン性はない場合が多い一方で、設計から工事完了までの期間が短くなります。これまでのオフィス内装の事例などを見せてもらい、自分の好みの内装はどういったものなのかを事例をもとに話し合うと、設計も進みやすくなります。
工務店など、主に施工をすることがメインの内装業者
現場で施工する職人のため、提案力、設計の知識をある程度持っていないと話し合いもままならないため、内装の知識がない方にはおすすめできません。
【ベンチャー企業向け】オフィス移転で知っておくべき豆知識10選【まとめ】
以上、ベンチャー企業に役に立つオフィス移転の豆知識10選でした。移転をするための準備やその流れが少しでもイメージできるようになりましたか?オフィス移転は経営課題を解決するための一つの手段ですが、すぐに売り上げにつながるわけではない一方で、資金や時間などの労力がかかります。事前に流れを把握してできる限り計画的に行えるよう準備してください。