会社を見渡しこの資料の山がなければ、もう少し小さなオフィスを借りるのに、、、と考えたことはありませんか。実はオフィス移転は書類の電子化を進めるチャンスでもあるのです。今回はペーパーレス化のイメージができやすいように導入のポイントや流れを解説します。
企業のペーパーレス化が進まない理由
これまでは書類の電子化をせずとも、事務所に出向いて、印刷をかけ、押印する、という事務処理業務を行っていたため、リスクやコストがかかる書類電子化の導入はなかなか進みませんでした。ペーパーレス化の導入時にはビジネスツールや書類管理システムなど電子データを扱うための初期投資が必要です。また、ツールの導入だけでなく、管理や使いこなす知識が必要となり社内教育やマネジメント体制を整えなければならないため、後回しになっていたのが現実です。
新型コロナウィルスの影響
先述した通り、ペーパーレス化がなかなか進まなかった日本の企業ですが、新型コロナウィルスのパンデミックにより、普段通りに出勤ができない事態となり、DX化を進める企業が突如増加し、後押しされるように書類の電子化が以前よりも注目されました。テレワークが導入され始めて、出勤せず業務を進めるための苦肉の策として、書類関係の事務処理業務に変化が起こったのです。
新オフィスはペーパーレス化して迎える
事務所の規模縮小を行うためのオフィス移転を考えている企業にとって、引越しの際のペーパーレス化は好都合です。なぜならば、オフィス移転とはレイアウトの配置換えや大きな家具の廃棄をするタイミングだからです。棚が不必要となるペーパーレス化を同時にすることによって、今よりも規模の小さなレイアウトへの変更と、新しい小規模なオフィスが検討できるようになります。
オフィス移転でペーパーレス化を導入するポイント
前もって目的を明らかにしておく
従業員が電子化への運用変更を理解しやすいようペーパーレス化を実施するための目的、例えば「事務処理工程の削減」や「テレワーク推奨のための措置」といった具合に、何のために運用変更を行うのかしっかり従業員に伝えてください。社内環境を変える都合上、社内周知は計画を立てて事前に行わなければ従業員の混乱を招きかねません。一度に全ての導入は難しく、段階的に導入するケースもあるでしょう。オフィス移転とペーパーレス化はあくまでも業務効率の向上、省スペース、印刷コスト削減などのための手段です。スムーズにマネジメントを行うため、まずは何を目的としてを進めるのかを明確にしましょう。
目的に応じた電子化システムの選択
どの部分にペーパーレス化を導入するかを決めましょう。そうすることで、まずはじめに導入のために必要なシステムが何かを判断することができます。例えば、営業部の場合は、請求書、見積書、納品書の作成と、それら書類のクラウド管理が必要となります。経理・総務の場合、例えば、経費申請書類の提出がシステム上で行えて、かつ社内の会計管理システムに連動している設備を導入すると、事務処理の工程が格段に削減されます。書類電子化の導入前には担当者が現場の従業員にヒアリングをして、導入後に足りないシステムがあったり、使わないシステムに予算をかけることがないよう注意しましょう。
少しずつ導入する
着実に進めるために、スモールステップを踏みながら少しずつ導入しましょう。オフィス移転の時には、書類を収納している一部のキャビネットは破棄して、書類やファイルのしまう場所をなくし物理的な環境を作ることも導入の一押しとなるでしょう。
オフィス移転の時にペーパーレス化を行う効果
事務所の省スペース
書類や資料を収納する棚やキャビネットがある程度必要なくなります。例えば、年に数回しか閲覧されない資料が倉庫にある場合は、それらを丸々電子化することで倉庫自体が不要になるでしょう。資料の収納だけに利用していた空間を従業員の休憩室や図書室などに有効活用すると従業員の満足度も向上するかもしれません。
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コスト削減
先ほど述べた、棚やキャビネットのスペースが不要になることから、必要な事務所の広さが狭まり、事務所を縮小することによって家賃を削減することができるでしょう。また、印刷、コピー用紙代金やファイル代などの文房具にかかる費用やそれらを収納するスペースも必要なくなります。さらに、それらを管理する手間もなくなるためペーパーレス化の進行具合に比例してコスト削減の威力は大きくなります。
業務効率化
書類を取り出すときの時間がかからなくなります。検索機能を活用すれば書類の取り出しがスピーディになり、わざわざ書類を棚に取りに行く手間がなくなります。また、書類を共有する時も物理的に渡す手間が省けるため業務効率も向上します。
テレワークの導入をサポート
これまで請求書の発行、押印を紙ベースで行っていた企業は出社して請求書を発行する手間がなくなるため、テレワークの導入もしやすくなります。テレワークの導入がなかなか進まない理由の一つに書類の作成があるとしたら、よりテレワークが可能になるでしょう。
ペーパーレス化の導入時に注意するポイント
リテラシー教育
電子化された書類を扱うため、その管理システムの取り扱い方法を従業員に教育することが必要となります。それと合わせて、PCで機密書類を閲覧するのにふさわしい場所はどこにするのかルールを決めて周知し、PCで機密書類を扱うことの自覚を促しましょう。また、ダウンロードした書類のデータを暗号化せずにメール送信するなど、ヒューマンエラーが生じる可能性のある場面を想定することも必要です。サイバー攻撃による機密書類の漏洩についても注意喚起を徹底しましょう。
予期せぬシステム障害が起きた時の対策をとる
何らかの原因で突如システム障害が起きた時に、重要な書類はどういった方法で取り出すことができるか、その対策を前もって確認しましょう。また、在宅やリモートワークの場合はwifi環境によって、閲覧や取り出しが難しくなるケースがあるので注意しましょう。
全てを自前でやろうとしない
先にも述べましたが、会社にある紙の書類を一度に全てデータ化するというのは膨大な人員と時間が必要です。そのため業者に依頼できる部分は専門業者に依頼することを想定しましょう。また、どの部分なら電子化できるか相談を行っている業者もあるので、業者を比較し依頼すると良いでしょう。
あえて電子化を導入しない業務を確認する
全てをペーパーレス化するのではなく、電子化することにより作業効率が下がる業務はないかを確認しましょう。例えば、取引先によっては、請求書はメールでの添付は受け付けておらず、郵送でないと受け付けない企業も未だに存在します。予算と時間をかけて業務効率を下げることはコストでしかありません。事前に現場のヒアリングは欠かさないよう進めましょう。
オフィス移転はペーパーレス化に好都合!その効果と流れを解説【まとめ】
移転をする時にペーパーレス化をする流れや、その効果を少しでも理解できるようになりましたか。新型コロナウィルスのパンデミックが後押ししたこともあって、昨今では時代の流れは年々早くなっていると言われます。紙ベースで書類を扱っている間に『周りの取引先はいつの間にか紙の資料を取り扱わなくなっていた』ということが起きないように時代の波に前のめりに乗ってくださいね。