オフィスを基盤となって支える床には、OAフロアを置くのが望ましいです。一方でOAフロアというワードを聞いたことはあるが、役割を知らないという方も多いのではないでしょうか? OAフロアは普段目に見えない場所に設置されますが、オフィスの安全性を高めるなど様々な役割があります。今回はOAフロアについて徹底解説していきます。
OAフロアとは?
OAフロアは、建物の本来の床である躯体の上にもう一重の床をつくることができるアイテムです。施工することで、床の下に収納スペースができる、床表面の凹凸がなくなるなどの利点があります。
OAフロアを設置するメリットは?
オフィスの見栄えが良くなる
OAフロアを設置すると、散らかっている室内の見栄えを改善できます。ビルの躯体床に直接床仕上げ材を敷いていると、ケーブルの収まりが悪くなるケースが多いです。高床式にすると、ケーブルを全てしまうことができるようになります。床は仕上げ材だけになり、デザイン本来のおしゃれさを発揮するのです。
足元がすっきりする
OAフロアによってケーブルを全て床下にまとめると、オフィスの足元をスッキリさせることができます。ケーブルがむき出しで表に出ていると、歩いているときに足に引っかかって転ぶなど、危険を伴うことも考えられるのです。オフィスの安全性を高めるためにも、OAフロアの設置は重要な役割を果たします。
OAフロアの種類は主に2種類
ケーブルを隠すことができるOAフロアは主に、置敷タイプと支柱タイプの2種類です。置敷タイプは箱型をしており、側面にケーブルを通せる穴が空いています。床に箱型の置敷タイプを敷き詰めることで、コードをしまえる高床を形成します。一方で支柱タイプは、一般的に4本の柱と1枚のボードでできており、柱の上にボードを乗せることでできる空洞へケーブルを収納するのです。どちらの種類がマッチしているかはオフィスの条件や工期などによるため、それぞれの特徴を確認して選ぶ必要があるでしょう。
どちらのOAフロアがいい?
2つのタイプからどちらを選ぶか決めるには、それぞれの強みを抑える必要があります。
値段の安さ | 施工の速さ | コードの収納量 | |
置敷タイプ | 〇 | 〇 | △ |
支柱タイプ | △ | △ | 〇 |
安さと速さなら置敷タイプ
短い工期で設置したい、工費を安くしたいという場合には、置敷タイプがマッチしています。置敷タイプは設置したい部屋に敷き詰めるだけで施工できるため、スピーディーに取り付け可能です。また、価格が安いという点も置敷タイプの魅力でしょう。下記の表は、メーカーのフクビ化学工業株式会社の施工価格目安表です。
種類 | 材料価格(1㎡あたり) | 施工費用(1㎡あたり) |
置敷タイプ(樹脂素材) | 17400円 | 2000円 |
支柱タイプ(スチール素材) | 25300円 | 3000円 |
コードが多い部屋には支柱タイプ
電話線やLANケーブルなどの配線類が多い場合には、収納力のある支柱タイプが適しています。支柱タイプは1枚のボードを4本の柱で支える形状をしているため、柱以外の場所が全て空洞になり、たくさんの線を収納可能にしているのです。また、高さ変更できる製品がほとんどで、収納スペースが足りなくなった場合でも、床高を変更することも可能です。置敷タイプはケーブルを通せる範囲が狭いため、たくさん収納したい場合には不向きと言えます。
OAフロアは材質選びも重要
吸音性の高いコンクリート製
コンクリート製のOAフロアは吸音性があることが強みです。OAフロアを利用しているオフィスでは、OAフロア上にパーテーションや軽鉄ボード壁を建てるケースが多くあります。OAフロア上に壁を建てると床下が空洞になるため、廊下の足音が響くなどの問題が発生するのです。吸音性の高いコンクリート素材を採用すれば、通路の足音が響くのを軽減することができます。
強度の高い金属製
金属製のOAフロアは強度が高いことが特徴で、アルミ製やスチール製の製品が多く流通しています。踏んだときにしっかりした踏み心地があるため、歩きやすい床をつくることが可能です。また、カットをおこなうことができるので、部屋の隅まで隙間なく敷けます。金属製のOAフロアはビスがとめやすいといったメリットがあるため、パーテーションを上に建てる場合にも最適です。
価格を安く抑えられる樹脂製
OAフロアを安く導入したいという場合には樹脂製がベターです。樹脂製のOAフロアは、他の素材の商品に比べて比較的安い価格で販売されています。また、金属やコンクリートよりも軽いため、場所を変更したいときに簡単に動かせる点も特徴です。
耐荷重は製品ごとに違う
耐荷重は同じ材質でできている場合でも、製品ごとに差があります。例として、メーカーのフクビ化学工業株式会社の商品を見ていきましょう。スチール製パネルの製品FP3000とFP5000の耐荷重はそれぞれ、FP3000が所定荷重3000N、FP5000が所定荷重5000Nです。同じスチール製であっても製品ごとの耐荷重には大きな差があります。部屋の役割などに応じて耐荷重をきめるようにしましょう。
オフィスの土台になるOAフロアは信頼性が大切
オフィスの土台になるOAフロアは信頼できる商品を選ぶ必要があります。信頼できるOAフロアを選択する基準の1つは「JAFA認証マーク」があることです。JAFA認証マークは、フリーアクセスフロア工業会がチェックして、JAFA性能評価認証制度を満たしていると判断された場合に付与されます。信頼度の低いOAフロアを使うと破損して事故につながるケースもあるのです。社員が安心して働けるよう、床材は信頼できる商品を利用しましょう。
施工方法と工事の流れ
置敷タイプの施工の流れ | 支柱タイプの施工の流れ |
➀設置場所の床の掃除 | ➀設置場所の床の掃除 |
②クッションシートを敷く (躯体床のガタつきが影響しないように) |
②割付を出して高さを決める |
③置敷タイプOAフロアを並べていく | ③柱の取り付け |
④施工完了 | ④パネル部分の取り付け |
⑤施工完了 |
OAフロア導入の注意点は?
部屋の高さに注意が必要
OAフロアを設置すると、部屋が狭く感じる場合があるため注意しましょう。オフィスが入るビルの部屋の天井高は2.5m〜3.0m程度で、床に厚みをつけても圧迫感を感じるケースは少ないです。ところが、少し古いビルなどでは天井高が低い場合もあり、床に厚みを持たせると、天井が近く狭さを感じることがあります。床の厚みが増えることを想定して、部屋の高さを確認しましょう。
ケーブルの移動がしにくい
OAフロアを設置すると、ケーブルの移動がしにくいです。床下に収納されているため、動かすには、まず表面に貼ってある床仕上げ材を剥がす必要があります。その後、OAフロアの板部分を外して取り出します。大量の本数を引き直すとなると、数十枚床材を取り外すなど、大規模な工事が必要です。
後から導入する場合はドア周りに注意
元々OAフロアがなかったオフィスに導入する場合は、扉が開かなくなる可能性を考慮しましょう。OAフロアを置くことで床の高さが増すため、扉の下部に重なってしまい、部屋内方向に開かなくなるケースがあります。建具の周りは、OAフロアを設置せず、OAフロアと元々の床の境目に坂道を取り付けると開閉を邪魔することなくベストです。坂道部分は角度が急になりすぎると台車が通りづらい、つまずくなどのトラブルの原因になることもあるので、OAフロアを置かない場所を少し広めに確保します。
OAフロアのおすすめメーカーは?
OAフロアは20社以上のメーカーから発売されており、選択肢が豊富です。商品の中には足音を軽減するシステムや、他に比べて軽いものなど、メーカー独自の工夫が施されています。収納したいコードの数や耐荷重を考えたうえで、重量の軽さや足音軽減など、オフィスにマッチした商品を選びましょう。
≫ OAフロア(フリーアクセスフロア)の主要取扱メーカーを徹底解説
床の仕上げはタイルカーペットがベスト
OAフロアを設置した場合はビルの躯体床と同じように表面に仕上げ材を施工する必要があります。オフィスの床仕上げは、選択肢の幅が広いタイルカーペットがベストです。表面は糸状の素材でできており、柔らかい印象を与えてくれるからです。50cm角の商品が多く、コーヒーなどをこぼしてしまった場合でも、一部だけ張り替えができ機能的でもあります。柄の選択肢が多く、貼り方向も選べるタイルカーペットはオフィスの床に欠かせない存在と言えるでしょう。
OAフロアとは? 種類ごとのメリットと選び方を徹底解説【まとめ】
OAフロアを設置すると、床の見た目をよくできる、足元のコードを収納できるといった利点があります。また、置敷タイプと支柱タイプの2種類があり、施工の速さと安さを優先する場合は置敷タイプ、収納量を重視する場合は支柱タイプがおすすめです。OAフロアの施工を検討されている方は、お気軽にオフィスボールへご相談ください。