店舗移転費用を抑えたい時に整理しておきたいポイントを解説

「今の店舗を移転し、リニューアルしたい」となった時、予算設定は何から手をつければ良いでしょうか。店舗移転は、新規出店よりも安くて簡単と思われがちですが、想定以上の費用や、時間を要することが有ります。今回は、店舗移転の際に整理しておきたいポイントをまとめて解説します。

 

移転の前に現店舗と新店舗の原状回復条件を把握する

店舗移転

店舗移転の際に、気にしなければいけない最初にコストが現店舗を作る前の状態に戻す原状回復です。契約時の条件を確認し、手を加えた造作や内装仕上げなど、どこまでを元通りに戻さないといけないのか把握するところから始めましょう。敷金を入れている場合、現状復旧費用が相殺されますが、内容によっては手出しが発生することもあるため注意が必要です。しかし最近では、原状回復をすると後継店舗の募集が難しくなるケースもあり、物件の立地や業種によっては内装を残置したままでも良いという事例も有ります。貸主と相談したり、交渉できるようであれば、原状回復工事の予算を削減出来る可能性が有りますので、確認してみましょう。

 

次に確認しておきたいのが、新店舗の原状回復条件についてです。特に内装居抜きの物件に移転する場合は、退去時の原状回復条件について見落としがちです。理由は譲渡金だけを考え、工事費の予算を組む必要性が無いからですが、将来その店舗を出て行く場合の事も確認しておきましょう。例えば、将来の現状復旧義務の範囲が『内装居抜きの状態に戻すのではなく、全てを復旧しなければならない場合』想定以上の解体費用が掛かります。移転時だけではなく、将来のコストも予算に組み込んでおくと安心です。現店舗も、新店舗も、移転先の内装コストや引っ越し費用を算出する前に、必ず現状復旧条件を把握して予算に加えておきましょう。

 

店舗移転でコストを抑える転用計画とは?

移転先の際、現店舗で使用している物を移動し、改めて利用することを転用と言います。一般的に転用はコストを抑える効果があります。しかし、現店舗と新店舗との条件が極端に異なる場合、全てが上手く転用できる訳ではありません。それぞれのケースごとに、転用の計画における予算の考え方の例を紹介します。

 

移転で現店舗より、新店舗が広くなる場合

広いスペースに対して、商品やサービス内容を充実させるために、転用する物とプラス新しく追加するものが必要であるケースが想定されます。ここで問題になるのが、転用するものと新調するものを比較した際の劣化具合です。例え転用品の程度が良く、傷等が少なくても、新調したものとは色見や質感が合わなくなる可能性が十分に考えられます。新店舗のレイアウトを考える際は、そういった新旧の見栄えのギャップを最小限度に抑える工夫が必要です。場所ごとに転用するものを配置し、新調する物との比較が少なくて済むようにすると劣化が気にならず良いでしょう。内装仕上げに関するコストも広くなる分、面積に応じて高くなります。バックヤードについては、仕上げ材の仕様を落とすなど、コストを抑える工夫も必要です。

 

移転で現店舗より、新店舗が狭くなる場合

狭いスペースに対しては、商品量を減らしたり、サービスを集約するケースが想定されます。数を減らす考え方なので、店舗が広くなるケースよりも楽観的に考えることが出来ます。但し、裏を返すと転用できない物が必ず余ってしまうわけですから、それらの処分に費用が掛かると想定しなければなりません。こちらも、レイアウトの計画段階で要、不要をまとめ、しっかりと判断しましょう。内装仕上げに関しては、狭い分コストを低めに抑えることが可能です。しかしながら、内装仕上げ工事は全体コストにかかる割合が少ないため、それほど大幅なコスト削減には繋がらないとも考えられます。

 

いずれのケースでも、移転を機に陳列什器を新調することを検討したり、デザイン的に合わず、家具や備品を変更せざるを得ないことも考えられます。その場合、転用は考えず、全て新調するという事になり、且つ、廃棄コストも掛かってしまう事を意識して予算を組みましょう。

 

現店舗から新店舗へ転用するものを調査する

図面と現状に相違が無いか、実測するなどして確認する作業を現場調査、略して『現調』と言います。新店舗の区画についての確認は当然ですが、店舗移転における現調は、転用する内容についても調査する必要があります。現調結果を基に全体のレイアウトや通路寸法の確認、来店客及び従業員の作業動線の確認等を行います。では実際に何を現調し、転用すればよいか、タイプ別に考えてみましょう。

 

陳列什器など移動するだけで良いタイプ

陳列什器は、一般的に移動して設置すれば良いので、移転コストを抑えるためには、極力陳列什器を転用することが一番の早道となります。棚板やそれを固定するブラケットなどのパーツも含め、可能な限り転用することは、コストを抑えることに繋がります。時間的な余裕が有れば、業者に委託せず、自分たちで行うことも出来るでしょう。但し、物量が多かったり、移転までに保管する場所や期間が必要となる場合には、物流コストが掛かります。

 

それでも殆どのケースでは、新規に陳列什器等を製作するよりも、大幅にコストを抑えることが可能です。たとえ劣化が見られても、リサイズしたり、補修することで再利用できるものもあります。レイアウト作成の際は、なるべく転用什器を優先的に落とし込み、新規で製作する什器を減らす事でコストを抑えましょう。

 

電気を使う器具タイプ

陳列什器と同様に、厨房機器や照明器具、場合によっては空調機器などの電気を必要とする物も転用を検討出来ます。その際、現調時には電源の位置や、電気容量についての確認を十分に行い、転用を計画する必要が有ります。店舗においても耐久消費財と呼ばれるこれらの機器について、種類ごとに予算面から考えプラス点やマイナス点、注意点を確認するようにしましょう。

 

照明器具など

店舗全体を明るくする『基本照明』を転用する場合、まず照明器具の形式が移転先にも使えるかどうかの判断が必要です。照明器具には、天井埋め込みのタイプや直付けタイプなどがあり、埋め込みタイプの場合、移転先の天井懐に取付するスペースの余裕があるかどうかを確認する必要が有ります。最近は躯体がむき出しのスケルトン天井といった仕上げも好まれるようになりました。当然ですが、埋め込み型の照明器具はスケルトン天井には転用できないという事になります。また、直付けの場合も吊元の確保や、配線の処理方法次第では、新規に天井を組む仕上よりもコストがかかる場合があるため注意が必要です。

 

店舗内の一部に効率よく光を当てるスポットライトに配線ダクトレールを利用している場合は、取付位置の設定に自由度が増すため、容易に転用出来ます。また、ペンダントなどの意匠照明器具も転用によって費用を抑えることが出来ます。たとえ移転後に電球を交換する必要が有っても、LED照明が多くなった昨今では、転用する事でコスト削減の期待値が高いと言えるでしょう。(但し、LEDでも照度の経年劣化は考慮する必要があります) このように照明器具や音響設備など、比較的転用しやすい耐久消費財は、転用計画に組み込むことによって、予算削減に大いに役立つでしょう。

 

設備機器など

飲食店舗関連であれば、冷蔵冷凍庫などの厨房機器や調理機器など電気を使用する設備器具の転用を検討する必要が有ります。業務用の厨房機器の多くは耐久性が高く、よほどの経年劣化が無ければ、転用を計画する方が良いと言われています。電気の容量や、コンセントの差込形状、設置位置などに大きな問題が無ければ、電気工事も殆ど考えなくてよいでしょう。但し、冷蔵ショーケースなど意匠的に重要度が高い機器などは、移転の際に新調することを含め検討しても良いかもしれません。

 

他にも、エアコン等の空調設備も転用を計画する場合が有ります。但し、冷媒や室外機の配置場所からの配管など、必ず撤去費用と設置費用の両方の工事が発生します。店舗の規模にもよりますが、転用する工事費用や不具合が起きるリスクを含めて比較すると、作業や手間がかかる割にコストが抑えられない場合も考えられます。このように設備機器に関しては、撤去及び設置の費用や、移動自体も重量物であることから、輸送費も相応のコストを考慮しなければなりません。経年劣化などの要素も含め転用する内容を見極めながら、予算組を行うと良いでしょう。

 

効率のよい店舗移転に関して費用も含めて相談する

原状回復の費用や、転用したい内容もまとめたけれど、更に予算を抑える方法が無いか検討したい場合、予め要望を相談し、どうやったらコストを落とせるのか最適な提案をプロに求めることも方法の一つです。1・2級建築士や、インテリアプランナーの資格を持つ設計士であれば、要望をヒアリングしたうえで、転用計画をしっかりと網羅したレイアウトや図面を製作してくれます。その図面を元に、店舗移転に掛かる費用の見積を取るという事も出来るでしょう。

 

頑張って膨大な時間をかけても予算が下がらなければ意味がありません。費やした時間のコストは返ってきません。設計料を支払うという予算組は必要ですが、的確な助言を得ることで、効率の良い店舗移転が可能となり、費用を抑える事に繋がるケースも有ります。事前に、信頼して相談できるプロを探しておくと良いでしょう。オフィスボール社は店舗移転から内装工事、原状回復工事までワンストップで承ります。お気軽にご相談ください。

 

店舗移転費用を抑えたい時に整理しておきたいポイントを解説【まとめ】

新規出店の様に、全てがコストと考えるケースとは違い、店舗移転は様々な要素を比較検討した上で、如何にコストを抑えるかという事を考える必要が有ります。実際、新規出店の方が色々と検討することが少なく、時間的な労力が掛からないという声はよく耳にするところです。店舗移転においては、現店舗の何をどのように改善し、新店舗ではどのような店づくりをしてサービスを提供したいのかといった、目的意識をしっかりと持つ事が重要です。その上でコストを抑える為に、転用する、新しく調達する、廃棄する、などの優先順位をつけて調整を行い、予算をしっかりと組み立てる事が出来れば、店舗移転費用を抑えることにつながるでしょう。

 

 

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